4話 ゲームと同じ。そしてバトンは託された。
クレアとシルフが剣を持って戦いを始めた。
お互いに剣を構える。その始まりの動作から既に差は見えていた。シルフの構える動作は素早く構えて、すぐに切りかかろうとする狂剣士の構え。それに対しクレアは洗礼された動きで流れる川のように構えるあらゆるものの理想に近い剣士の構えだった。
互いに見合い、どこからか聞こえてきた水が滴る音と同時に両者は動き始めた。
シルフはパワーのある剣術でクレアのスピードと技術の剣術を封じようとするも、クレアはその一撃一撃を軽くいなすと、脇腹に軽く蹴りを入れる。シルフは剣を振ることに全集中していたためモロに入り、一瞬でシルフが不利な状況に陥るのだった。だがその瞬間不可解なことが起きた。
「ここで君を倒す!」
シルフが完全に不利な状況でそれをわかっているはずでそう豪語し、思いっきり剣を振る。先程より明らかに雑で、その攻撃には力はあっても技術という美しさもない何も無い斬撃が放たれた。何も問題ない。
ーー違和感。ーー
明らかに弱い一撃。だがそれに私は何故か恐怖していた。
「闇支配 ツクヨミ 」
闇支配の中で多分現段階1番火力がある単体専用の必殺技。ツクヤミにクラヤミを纏わせて放つ技。その威力はクラヤミとツクヤミどちらかの力が大きくなればその分強くなるという効力を強めるだけで威力が増す兵器スキル。これを防げるのはアラルくん、アサネ、ルシアルカ、サタンの4人のみ。これを防げるものなら防いでみろ!
「かっはっ?!」
だがしかし。その力は彼女が思っているものを遥かに超えるものだった。
「クレアちゃん?!シルフ!って、、、え?貴方は、、、誰?」
シルフの方を見たアカネとカルトアは明らかな異常を察知しこれはいけないと思い、止めに入ったが、シルフの一閃を前に何も出来なかった。だが彼女が気絶する直前。彼が何かを言っていた。その声は小さく、よく聞かないと聞こえないか細い声だった。だけど何故か。何を言っているのかだけはわかった。否、わかってしまった。
「僕が彼女をやらないと、、、じゃなきゃ世界が壊されてしまう。」
ゲーム元は魔王候補と言われた彼女だが、今はアラルと出会って魔王になる理由もなければなる必要も無い。だが一時的に悪因子があったというのも事実。故にこの一撃はアラルすら知らない理というこの世界の修正力の攻撃。ただの支配でそれを壊す、避けるなどは出来るはずもなく。ただ致命傷を与えられた。
「ごめん、、、アラル、、、くん、、、」
そしてトドメを刺そうとする彼の前にある者が現れた。
「おい、、、これはどういうことだ?あぁ?」
それはこの世で1番クレアを愛し、世界の反逆者と言われた世界最強の冥王。アラルであった。
彼はヒーローじゃなければ正義の味方でもない。なんなら偽善者ぶることすら出来ない。だって大事な人を大事な時に守れないのだから。僕が異変を感じたのは数秒前。クレアが斬られてから気づいた。それまで違和感すら感じなかったのだ。だがここまで近づいてよくわかった。だが勇者という時点でその点を考慮してなかったのも悪かった。
「僕の邪魔をまたするのか、、、クソ女神!」
シルフへの違和感。それは女神による干渉。よく良く考えれば女神が勇者を見ているなんて当然だった。だがその選択肢を考えていなかった。何故ならそれがあったとしてもクレアを倒すことは不可能だと思っていたから。
「不完全な理支配、、、そして概念支配か、、、これは少し厄介だな」
そうはいいながらも、彼は冷静にクレアに回復魔法をしていた。応急処置程度だが、これで意識を回復する時間を短くできたはず。
「さて、、、悪いけどここからは僕の相手だ、、、準備は出来てるか?クレアを斬ったんだ、、、それ相応の覚悟をしろよ?こっちも本気で潰しに行ってやるから。」
そして彼は全力で女神の手先である勇者を潰しはじめる。
「神剣 神名解放 幻死蒼剣 ー【叢雲】」
時空魔法をあの時より早くほぼ無詠唱で発動し、500の斬撃を絶対必中で放つ。だがそれを彼は操り人形のように人間ではありえない動き、、、関節の向きで受け止め、避けた。
「それを躱すのは不可能なはずなんだがな、、、この世界を作った管理人以外、、、おい、久しぶりに会ったのに挨拶もなしか?クソ女神。」
「えー?だって貴方私のこと狙ってくるからそろそろ消さないとと思ってね?先に心でも折ろうかなって。」
勇者を依代に降臨した女神に僕は構える。隙は無い。ここまでの達人のような気配、、、さすがは腐っても神という称号持ちだと思う。
「だが!お前だけは許さない!全てを、、、ぶつける!怒天術式 焼土」
周りを高温で支配し、焼け野原にすることで相手を焼け潰す力だが、それを理支配で消される。お互い能力が強いからこそ有利に立つにはこの均衡を崩す一手がいる。浅木永利。確かにあいつならこの場を何とかできるが、次の戦いで本物と対峙する時戦えなくなる可能性がある。だからここは1人でどうにかするしかないのだ。
「崩冥天魔法 一の壊 死滅」
かつて相手を抹消するために作った魔法だが、これを使ったのは相手の能力のキャパをパンクさせるため。理支配と概念支配。どちらも強いがそれを使う力の源はどうしても有限だ。だからそのキャパを越えさせれば女神は帰るしかなくなる。結果。しっかりと相手は理支配で相殺してきた訳だが、その効力は先程より落ちていた。
「複合能力神煉。《天神化》〜全背理神〜」
ならばぶつけるのは高火力攻撃。質量でゴリ押せば!
そんな甘い考えを読み取ったのか。時間稼ぎだったのか。もしくは運命だったのか。
「どこまでも腐りやがって、、、クソ女神が!」
ヒロイン2人の盾。この世界のシナリオを壊さないようにするには絶対に生かして置かなければならない者を盾にした。相手はシナリオなどどうでもいい。求めるのは魔王討伐という結果のみ。ずっと憑依して魔王を倒してくれたらと本当思う。だがそんなのはどうでもいい。
「俺はここまでか、、、なら、頼むぞ。エーリ。」
そしてバトンは託される。
もうひとりの世界最強。そしてこの世界のみならずありとあらゆる世界を操る本物の神。
浅木永利である。
次回。茶番。今の現状を一緒に整理しよーぜ!というかお願いします。
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