プロローグ ユラ 盗賊
《sideユラ》
私はユラ シーナ。侯爵家の令嬢です。
いつも部屋で1人ぼっちで生活しています。
お父様に外に出たいと言っても出させてくれない。
どれだけ言っても叶わない、、、
だから無断で出てみた。
初めてみた街はとても綺麗で、世界は広いんだ。
そう実感した。
でも、この時は思いもしなかった。
まさかあんなことになるなんて、、、
ーーーーーーーーーー五日前。
私はいつも通りの生活を送っていた。
朝ごはんを食べ、庭で遊び、勉強し，昼ごはんを食べ、遊び、夕食を食べ、風呂に入り、寝る。
いつもそれの繰り返し。
楽しくもなければ、疲れるだけ。
そんな日々を過ごしていた。
そんなある日。
私にとって転機といえる出来事が起きた。
親2人が王都へ向かうことになった。
その間に私は外へ出た。
外は知らないものでいっぱいだった。
美味しそうなもの，綺麗な服，街の真ん中にはみんなが遊べる公園があった。
元気いっぱいで走る女の子，砂場に絵を描いている男の子、、、
私は思った。
こんなに楽しいのに何故お父様やお母様は外へ出そうとしないのだろう。
疑問は募るばかり。
その疑問を抱えながらもバレないように屋敷へ戻った。
事件が起こる三日前。
私は次はお父様の目を掻い潜り外へ出た。
正直、屋敷から出る時は出る時で楽しい。
そしてまた公園の真ん中に来た。
周りには楽しそうに遊ぶ子供達。
みんな笑顔だ。
私も混ざりたいな、、、そう思った。
だから、勇気を振り絞って1人の男の子に声をかけてみた。
黒髪で黒目の男の子。
この国では珍しい子だ。
「ん？君は、、、ユラ様、、、かな？」
その少年は私の名を言った。
この世界で今日合わせて2回しか外へ出たことがないのに。
「なんで私の名前を？」
思い切って聞いてみた。
この前外出たときに見た？
使用人の子？数多の最悪の可能性が見えてくる。
親に言われ、また軟禁状態にされる可能性。
それを弱みに色々される可能性。
連れてかれる可能性。
一抹の不安がよぎる。
だが彼はーーーーーー
「あっ、、、もしかして勘違いしてるかもしれないから言っとくけど、僕は別に君をどうにかするとかしないさ。ただ、たまたま居合わせた僕が捕まったら嫌だからってのもあるけど。」
面白そうな子だと思って名前を尋ねた。
「僕はね、アラル。君と同じ貴族の子で、現在家出中の男の子さ。」
それが私、ユラとアラルことダルカナの出会いだった。
