カヨコちゃんのイメトレ
他に何か変化した事ってあるかな?
私の中の変化を纏めると、属性が変わった事で得た力による副作用的な部分だと思う。
使える属性の異なる魔法は置いておいて、翼や尻尾、既存の魔法の変化については属性が変わり、力が増した事による過剰エネルギーの影響だから、私はこれから新たに変化した属性による魔法を習得するんだろうなと少し他人事のように考えてしまう。
それにネラが生み出しあの空間。
あの空間を作る魔法も習得したい。
とりあえずの変わったことによる私の知る範囲の確認を終えたから、人格を交代する。
私の身体とは言え、私と言う人格1つの話ではない。
私の身体にはカヨコちゃんとビランちゃんがいる。
彼女たちにも気になる事の確認をしてもらいたい。
「はぁ・・・アンタこっちも確認しなさいよ」
そう言って身体が呪獣へ変化する。
翼も尻尾も消えて、黒い液体が溢れて私の身体を包む。
徐々に圧縮されて形が整えられる。徐々に視点が高くなる。
頭部が前へ突き出し、足が太く二足のまま、細長い尻尾が伸びていく。
腕の関節が消え、腕と体の間に膜が張り、手は太く、腕と膜の大きさに対して、手はちょっとついてるくらいの感覚。
突き出した頭部は裂けて歯がびっしり生える。喉は無く、大きな瞳が外を見る。
形が整うと一気に体中に目が生える。
黒い皮膚が裂けて目がギョロギョロと動く。
「こんな感じかしらね。かつての姿は」
目を一つ使い姿を確認する。
その姿はかつて私を喰らい、融合した呪獣の姿。
融合する前の呪獣の姿になつかしさを感じる。
「なるほどね。この姿になってみると感じるものがあるわね。いえ、カラネが拒否反応を出していたからなれなかったのかしら?まぁいいわ。この姿はウチには合わないわ」
そう言って身体が変化する。
身体が圧縮されて生えていた目が全て消える。
頭部も引っ込み、視界も低くなる。
膜は消え、関節が生まれて腕が曲がる。
手は元の人間の手に戻り、スラっとした足が生える。
徐々に人型に戻り、ちらりと視界に黄色い髪が見える。
顔ができているのはわかるけど、どんな顔なのか、翼や尻尾を生やして目をつけていないので確認できない。
普通に元の私に戻ったわけじゃないのは何となく髪型で認識する。
黄色のサイドポニーテールにしながら、手から黒い液体を出す。
黒い液体は身体を包み、形を作っていく。
「うん、意外とすんなりできたわね」
そう言って確認するのは人型の呪獣の目で姿を確認するのだった。
えっと、人型の呪獣の中に、人が入ってる?
よくヒーローが変身スーツを纏い仮面をかぶっているけど、そんな感じかな?
ただ姿は圧倒的にヒールすぎる。
仮面となる部分は少し出ていて、ギザ歯がびっしり生えている。その奥には大きな瞳。
身体中にもびっしりと目が生えていて、細く長い黒い尻尾とちょっぴり生える翼がついている。
手も目は無いし、ぱっと見はシンプルに黒い手だけど、よく見ると細かい毛のように触手が生えている。
足だけはシンプルに鎧っぽいけど、何か仕掛けがあるのかな?
う~ん。
ちょっと違うけど、確か似た姿でネラが作った空間の中で戦った気がする。
「あとは武器ね」
そう言って元々持っていた杖を剣に変化させて、魔力と呪力と空虚力が注がれる。
ただ、魔力も呪力も飲み込まれるように空虚力に吸収される。
「やっぱり、難しいわね」
そう言って呪いを使い剣に軽く重みを付与する。
剣は空虚力により、少し変化していた。
元々シンプルな剣が、魔力と呪力で持ち手から剣先に向けて二本の線が走っていたけど、空虚力によって上書きされて二本の線が脈打ち、呪いを受けた事で剣の色が黒く変色し、線が赤くなる。
禍々しさを感じさせる剣から感じる力と言うのかな?気配と言うか存在感と言うか、物質が放つ力?みたいなのがかなり強くて、腕がヒリヒリと痛みを感じる。
「これは想定していなかったけど、まぁいいわ」
剣を振るう。
真っすぐ目の前に。
ただし、剣の力を放つわけじゃなく、抑えて放つタイミングを見計らいながら振る。
始めはただ、軽く試しに振っていたようだけど徐々に振る勢いや体制が変わり、剣の振る速度に緩急が付き、カヨコちゃんが何か相手をイメージして剣を振っていることに気づく。
仮想の相手なので他の攻撃は使用していないけど、イメージの中で時折攻撃を受けたり、剣ではなく呪いか魔法か不明だけど、時折何かしている様子はある。
ただ、殆ど剣戟ばかりでイメージしている相手に通用せず、押されているように思う。
イメージしている相手についてわからないけど、ただ大きくて手数が多い相手を想定しているみたい。
剣で応戦しているけど、明らかに受け流し方が受ける攻撃によって違っている気がする。
しばらく見届けていると、カヨコちゃんの動きが止まる。
多分だけど、動き的に躱し切れずに直撃して死亡したのかな。
時折、動きが悪くなっていたから、呪いを受けた想定かな。でも、呪いとはいえ呪獣相手に効かないはずじゃないかな?
「フヨコ、ありがと。また機会があれば試させて」
そう言って私と交代する。
「わかった。次はビランちゃんだけど・・・やらない?」
姿が既に戻って、魔力と呪力を放つ翼を生やし、モフモフの尻尾を生やした姿になるんだけど、ビランちゃんは翼を自在に操れるのか、翼で返事をしてきた。
そもそもさっきカヨコちゃんと交代する時に拒否反応をされたから何となく大丈夫かなとは思っていたけど、念のためね。
「じゃあ、残り時間はあと1時間だけだし、飛行訓練するね」




