ビランちゃん、君に決めた
さて、そんなことは言っていても目の前の問題は解決しないので、選択肢を変えよう。
始めは大人しく正直に話していくべきかなって思ったけど、ここはもう狂人になろう。
「ふふふ・・・ふははは」
「えっ・・・マジコイツ何なの?」
「イズミ様・・・申し訳ございません」
「いや、まぁ正直こいつの力について気になるから良いけどさぁ」
「我が力の一端を目の当たりにできた事を幸運に思うが良い!愚民よ!」
そういってかっこよそうなポーズを取ろうと試みる。
しかし、拘束していた手錠はそれを許さなかった。
「ふっ、まるで堕天使の気分だ。鎖で繋がれた我・・・美しいな」
「なんかウチ、こいつに関わりたくないから、アンタらで何とかしてくんない?」
「えっ、あっ、かしこまりました」
「じゃっ、よろしく~!」
そう言って、金髪の女性は帰っていた。
残ったのは軍服の女性と私。
くっ・・・恥ずかしいんだけど!
思い込み使わずにやってるせいで普通に恥ずかしい。
「くっ・・・殺せ」
「アンタは何を言ってるのかしら?」
うん?
てか、鍵開けっ放しじゃない?
さっきの人が私の翼を生やす瞬間を見て、牢屋の外に出ていったけど、その時に閉めてない、開けたまま帰っていった。
カギはあの人が持っているということは、軍服の人はカギを持っていない?
つまり、今脱走してください状態?
・・・ねぇ。ビランちゃん。交代して好き勝手する?
「アンタ、急にどうしたのかしら?イズミ様に叩かれすぎて頭壊れたのかしら?」
「《交代》」
「はぁ、私も嫌だけど、やらなきゃよね。はぁ」
「バァ!」
「キャッ」
「キャッだって~!キャハハ~!」
「ちょっと、アンタ!」
はい、ビランちゃんと交代して、私は力を結晶に変換して蓄える単純な仕事だけをこなしていく。
交代してすぐに、ビランちゃんは小さくなって、子供になったまま、牢屋を出て軍服の人を驚かした。
そのままモノマネをして走り去っていくのを後ろから軍服の人が追いかけてくる。
しかし、身体が小さく、翼を生やしている私は素早く移動することが出来る。
う~ん、ここにいる間はビランちゃんに任せてしまおうかな。
流石に頃合いを見て変わるけど、しばらくは任せよう。
ビランちゃんの考えていることはわからないけど、複数の作業を同時にやりこなしている。
何をしているのか把握しきれないほどの量なので10や20ではない。
100や1,000の量の数を意識的に操作している。
私が向かったのはさっきの金髪の人の元だった。
そんなに距離が離れていない、一本道だったからあっという間に軍服の人が見えるくらいの位置にいたので後ろに近づいてきた私に反応して振り返る。
しかし、私はいつの間にか透明人間のようになり、姿が見えていないようで、翼から見る私の姿は目視できなかった。
それでも、軍服の人を見かけたからか立ち止まり、軍服の人が来るのを待っていた。
「どうしたの?何かあったわけ?」
「はい。先ほどの者が一目離した隙に手錠を外して脱走いたしました。こちらへ逃げたのですが、見かけませんでしたか?」
「見ていないけど・・・そっか、ごめん、ウチのせいだね。でも手錠してたよね?なんで?」
「それが・・・私がおかしく聞こえるかもしれませんが、突如子供の姿になり、手錠を抜け出したようです」
「あぁ~、じゃあウチがかなり悪いじゃん。手錠は解けても脱走は出来ないでしょ鍵があれば。ウチが持ってるせいだね。ごめん、ほんと」
「い、いえ、イズミ様に謝られるほどではありません。しかし、あの者が我々と同業者であれば・・・」
「ちょっとやばいね。至急応援呼んで捜索に当たって。最悪殺しちゃっていいから」
「はい。畏まりました。失礼します」
「うん。よろしく~」
そういって軍服の人が去るのを見てから、振り返って歩こうとした。
「バァ!」
「うわ!」
「キャハハ!うわ!だって~!尻もちついてビビってる~!キャハハ~!」
「チッ、ガキンチョ。待ちなさい!」
「キャハハハ~!」
そういって奥の方へ進む。
う~ん。
ビランちゃん。子供っぽい事してるけど、何か目的ありそうだな。
私の力を彼女に好きなように使って良い様に言ってるから勝手に使ってるけど、どうやらこの建物全体に私の力を流して構造把握をしている。
私の力は強くないとただ存在してるだけだから場所を取らない。存在があるだけで他に何もない。
だから建物に力を流して同じ材質の物を辿るだけで建物の物質に入り込んで伝っていく。
そして、私には何も感じれないけど、ビランちゃんは何か感じたんだろうね。
奥の部屋に何かある。雰囲気は感じるけど、よく思うとあの後こっちに行く理由が無い。
牢屋が続き、奥に一部屋広めの部屋がある。
反対に軍服の人が帰った方には上に続く階段がある。
上の階層は全てではないけど、住居区や食べ物の貯蓄部屋っぽいのがある。
だから、上に行って何かするのかなって思ったけど、こっちに向かったって事はビランちゃんにとってもイズミって呼ばれる少女にとっても何かあるはず。
一体何だろう。




