少し感傷に浸ってたら、大変な事になりました。
フヨコ先輩は眠り、黒い人型は消えた。
何もないこの暗い空間で私はどうしたらいいんだろう。
多分何か知っているフヨコ先輩はずっと辛そうだし、私に魔力と呪力を与えたので、状態はあまりに良くないはず。
それにあの黒い人型はフヨコ先輩から出てきた。
何が起こってるんだろう・・・?
~・~・~
無。
フヨコ先輩がうなされているので膝枕して撫でていたけど、フヨコ先輩が目覚めるまでやる事が無いので虚無になってる。
割と長い間撫でているはずだし、膝枕もしているのに、しびれを感じないことを考えると時間経過している気がしない。
よく考えたら全然お腹空かないし、不思議。
フヨコ先輩を撫でながら、何も考えず、ぼーっと何もない空を見る。
~・~・~
ここホント何もないんだな。
フヨコ先輩が倒れる前に言っていた通り、何もない。
「私みたい」
ぽつりと漏れてしまった言葉。
思い出すのはあの何もない日々。
大した事ではない私の昔を思い出す。
本当に私は空っぽだった。
成績は悪く、部活動は運動部しかなくて、点で駄目。
空っぽの私には何も身に着かず、努力しても実らない。
同じように頑張っても私は成長せず、友人らは成長していく。
私の壺の底は穴が開いて水が溜まらない。友人らは穴が無く溜まって、どこかへ使われる。
罵倒される事も無ければ褒められる事も無い。
頑張っているね、優しいね。
そんなの私に使われる言葉じゃない。
頑張ってたらもっと何か出来るように、活躍できるようになっていたはず。
優しいんじゃない。私には何も無いから頑張っている人のアシストくらいしかできないだけ。
大したトラブルも生活もない平坦な日常。
ただひたすらに自己嫌悪が募り、自身の空っぽさを感じる。
ただ、みんなと同じ日々を過ごしているはずなのにどこか空虚な日々。
何もない日々。
毎日が虚無な日々。
空っぽな私。
一層の事死にたかった。
生き地獄だった。
普通にして生きてるはずが苦しい。
何もできないまま、頑張っても何もできないままの私が嫌だった。
だから死にたかったのに・・・
~・~・~
気が付いたら、寝ていた。
私もフヨコ先輩の横に寝転がって眠っていた。
フヨコ先輩・・・ごめんなさい。
私が勝手に暴走して、自暴自棄になって、封印してコピーして・・・ごめんなさい。
謝罪の言葉を告げたいのに感情は、言葉は薄っぺらで、緊張すら感じない。
本当に嫌になる。
私自身が嫌い。
・・・さっきの魔法、私自身に使えるのかな。
徐々に魔力は溜まっているけど、魔法を発動するには全然溜まっていないから使えないけど、使えるなら使いたいな。
どうせ、心配してくれる人なんていないし。
「なにか・・・魔法無いかな・・・」
「何を探しているのよ」
「うわぁ!」
独り言に反応されて驚いた。
パッチリと目を開いたフヨコ先輩が私を見る。
「何驚いてるのよ。はぁ、まぁいいわ。それより、何しようとしていたのよ」
「えっと・・・」
自殺する魔法探してましたなんて言えないしな・・・
「もういいわ。それよりもアナタから見て今の私はどうかしら?」
質問の意図が読み取れない。
少し考えてから答える。
「えっと、いつもどおり可愛いですよ」
「そう聞いてるんじゃないわ。でもそう。いつも通りね。ならいいわ」
「先輩?その、色々説明して欲しいんですけど」
「はぁ・・・そうね。説明ね・・・必要ないわ。アンタには今から必死に生きてもらうから」
起き上がった先輩が私に向けて言い放つ。
「えぇっと・・・」
「今から次々と呪獣が現れるから対処していきなさい」
「ええぇ~!?」
私が困惑に困惑を重ねていると、早速フヨコ先輩の指さした空間から呪獣が現れ、早速襲い掛かってきた。
「《火の玉》《火の玉》《火の玉》」
困惑はしているけど、冷静に今使える魔法で、簡単に火力があるものを選んで使用する。
現れた呪獣は文字通りの獣っぽく、犬や狼のようなタイプだった。
一週間の練習の成果が出たのか、火の玉は真っすぐと呪獣の顔面を捉えて燃やす。
一発目で怯ませて、二発目でガッツリ体に当たり、三発目が当たったらすぐに消えた。
「一体目終りね。次行くわよ」
そういって二体目の呪獣が現れた




