いったいこいつはなにがしたい
これまでの記憶?
ウチの?
「どういうつもりかしら?」
「キミという人格を肯定すると言ってるんだよ」
この見透かされている感じが気に障る。
「カラネの状態は眠っている。目が覚めれば、キミという存在は消えるだろう。カラネが《思い込み》を発動すればキミという存在・・・意識は消え、別の意識が芽生えるだろう」
「じゃあなんで、以前の記憶なんて」
「一つの希望だよ。キミが今消えても後で戻ることができる。僕がするのは人格が消えない限り以前の意識のまま《思い込み》が発動する。まあ以前の意識がある以上正しく機能はしないが、それでもキミという存在は消えない」
「それは・・・駄目よ。そんなの。カラネ自身の力を不意にするわけにはいかないわ」
「ふーんそっか。じゃあどうする?」
「カラネを目覚めさせてウチは消えるわ」
「それでいいの?」
「えぇ。構わないわ」
「ふーん」
何か言いたげな顔をしてるけど、いいわ。
カラネもフヨコも元に戻ることができるなら、元々存在しなかったウチが消えたところでって話よ
「それよりもこれからどうすればいいのかしら?」
「そうだね。まずはカラネもフヨコも眠っている。フヨコはカラネに封じられている。これは覚えてる」
「えぇ。覚えてるわよ」
「両方とも起こしても同じ状態へ戻るだけ。だから、まずはカラネの意識を僕が別の空間へ預かる」
「えぇ・・・え?」
急に話が飛んだ。
カラネの意識は契約精霊様が預かるですって?
「それとキミの記憶の一部をフヨコに植える。そうだね。キミの意識が芽生えてから今に至るまで。ただ、シラベちゃんが帰ってからの記憶は改ざんさせてもらうよ」
「まぁ、不快には思うし、ウチの事を覚えることになるものね」
「うん、だから記憶はあくまで問題解決したっていうあいまいな記憶にする。恐らくそれから自動的に記憶の保管がされて曖昧な記憶から別の記憶に置き換わるから、それは置いておいて、フヨコちゃんに関しては元々問題ないし、記憶の改ざんして目覚めさせれば大丈夫」
「わかったわ。それで?」
「フヨコちゃんを帰した後は別の空間にいるカラネの様子見かな。しばらくはかかるからその間はヒマになるし、身体を休めるって意味合いでもキミには寝てもらうよ」
「まぁそれは構わないわ」
手順としては
1.この身体を眠らせる
2.カラネの意識を別の空間へ飛ばす
3.フヨコの記憶を改竄する
4.フヨコの意識を元の身体へ戻す
5.フヨコの身体は現在魔力不足なので、元に戻るまで休息させる
6.休息後、意識を目覚めさせて、帰らせる
7.カラネの意識を目覚めさせて様子をみる
8.精神的が安定しているのであれば元の身体に戻し、身体を起こす。その際ウチは消える
こんな感じかしらね。
「まぁ、そうだね。じゃあ心の準備が出来次第教えてね」
「今すぐでもいいわよ」
「うーん。まぁ気持ちが変わらない内にさっさと済ませてしまおうか」
~・~・~
フヨコが目覚める。
「調子はどう?」
「まだあれね。寝起きや長く寝ていたのもあって本調子ではないけど大丈夫そうよ」
「うん、そのようだね」
「カラネは?」
「まだ、時間がかかりそうだよ」
「そう・・・」
「カラネは後日だから、先に帰ってみんなを安心させてあげて」
「まぁ、えぇそうね。カラネの事も心配だけど、ずっと離れているのも心配かけるわよね。わかったわ。先にもどるわ」
「うん。じゃあ、今度は遊びに来てね」
「それ、毎回言ってるのかしら?まぁ機会があればね。ありがとう」
そういってフヨコの姿が消える。
「どうだった?」
「違和感しかないわね」
ウチは契約精霊様の質問に答える。
フヨコのいた空間とこのウチがいる空間は別の場所だけど、一方的に見聞きすることはできる。
「なんで、ウチにフヨコを見せたのかしら」
「さぁ?秘密だよ。あ、やっぱちょっとした嫌がらせ」
少しイラっとする。
提案を断った事を気にしているようだしね。
「それで?さっきまでウチは寝てたはずじゃないのかしら?」
「それはそうだね」
「身体の中にあるこのフヨコの魔力は何かしら?」
「それは、カラネの影響だね。気にしなくてもいいよ」
「そう言われてもねぇ」
今のウチの身体にはカラネの魔力とフヨコの魔力、それと呪獣の力がある。
「敢えて説明するよ?今、カラネは別の空間で精神が安定するまで待機状態。フヨコは今見せた通りもう大丈夫だから帰して、後はキミ」
「ウチがどうしたの?」
「以前の記憶を与えるからカラネに会ってきてくれない?」
「はぁぁ?」




