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それはいいけど、ムカつくわね


「カラネちゃんはね、強さを求めた。フヨコの記憶にもカラネが強くなろうとしていた記憶はあるよね」

「えぇ。それはもちろんよ」


 カラネが悩んでいるのは知っている。

 強さというか、自身の在り方というか。

 まぁ、無理もないわよね。

 カラネって年齢は知らないけど、恐らく中学生くらいだし、多感な時期に人間でも呪獣でもある状態になって戦いばかりの世界へ入らざるを得なかったのだから。


 彼女は何も知らない。ウチら以上に。

 なのに、魔法少女の力でさえ、前例のない力で暴走。

 呪獣の力で暴走。魔法少女の力と呪獣の力が暴走。

 知らない力が勝手に使用できてしまい、困惑ばかりなのに、強さを強いられ、チヨ先生にボコされる。


 まぁ、精神的に病んでも仕方ないとは思わなくはないわ。


「チヨちゃんに勝つ方法として、彼女は自身の力に任せた。本能的な部分のみで戦う事、獣のように荒々しく、強烈で魔法少女を倒せる獣を望んだ。その結果発動した《思い込み》の魔法。彼女の知識の中で魔法少女を倒す獣と言ったらそれは」

「呪獣しかいないわね」

「そう、その結果、無意識に呪獣になった。始めは小型の。でも、その力が発動した事で彼女にとって秘密にしておきたかった秘密が周りにばれてしまった」

「あの場にはカラネの同級生含め、シンラですらちゃんとは知りもしなかったものね。知っていたのはウチとトウカ、シラベ先生にチヨ先生も知っているのかしらね。あ、後はウチらの口からハカリも知っていたわね」

「そう、彼女は同級生には秘密にしておきたかった。魔法少女の敵として呪獣がいる以上、その呪獣になれるのは秘密にしておきたいことだろう。なってしまった事と彼女の過去。これは流石に秘密にするけど、元々彼女は友達と呼べる存在が少ないから、せっかくなれた友達に嫌われる、拒絶されるのをひどく嫌う。小型の姿した呪獣も、彼女の心が壊れそうになった事で暴走した」

「あの大きく膨れる姿ね」

「一応、始めは理性があったけど、彼女の元々の思い。彼女はここに来る前は死期を悟った猫のように死に場所を探していたからね。もう何もかもどうでもよくなって、暴れるものの、殺される事を望んだ」

「そうね」


 思い浮かぶのは荒廃した土地。

 あの一撃はすごかったけど、それ以上の攻撃はしなかった。

 そういうことよね。


「そして、カラネは人格を消しかけた。自分自身の消失で別人格、キミに後は任せて消えようとした。しかし、フヨコが現れた」

「・・・」

「フヨコが現れた事に動揺した。同時に考えてしまった。自身が彼女のようなシンプルな魔法少女ならどうしたのか、彼女が同じように呪獣と魔法少女のハーフならどうしたのか。他の人ならとすがった」

「・・・」

「今のカラネは夢の中でキミという人格を見ている。今は接続してないけど、彼女の基本としてキミをそうだね。ゲームのキャラのように見ている状態で観察している」

「・・・」

「カラネはフヨコを自身の力で封じ込めて、キミという人格にコピーした。中々おかしなことをしたね。カラネはフヨコは自分だ、なら人格として思い込むことはできる。システムの穴を突くようなことをして、キミを生み出した」

「そうなのね・・・」


 紅茶を飲む。

 けど、中は空っぽで啜れなかった。


 契約精霊様がそっと追加の紅茶を入れてくれる。


「・・・そうだね。察してるかもしれないけど、カラネちゃんを起こしたらキミは消える」

「そうよね。でも、気にしなくてもいいわ。元々存在しない存在だもの」

「うん、そうだね。キミはカラネが作った人格でフヨコの人格をコピーした存在だよ」

「えぇ」


 どうしてかしらね。


「今のキミにこんな発言はすべきではないだろうけどね。これまでの記憶はいるかい?」

「・・・どういうことかしら」

「言葉通りだよ。キミという人格が生まれてきてからの記憶を思い出させてあげようかって提案をしてるんだ」

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