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これからここに住むらしい


「うんうん、なるほどね~、何となく君の事を理解出来たよ。話聞かせてくれてありがとね!」


 一つ一つの挙動が可愛い。

 人と話すというよりはぬいぐるみ遊びするような感覚で、スラスラ話をすることができた。


「改めて確認するけど、魔法少女になりたいんだよね?」


 それに対して私は頷く。


「一応念の為に言うと、僕が今からするのは、君たちの持つ魔法少女としての才能、能力という名のガスに僕が火を灯して、発火させることをする。人によってその力は激しく燃え上がる事があれば静かに小さく燃える事がある。だから、契約しても思ったより力を得られない可能性もある。それは理解しておいてほしい。どんな力でも耐えられる覚悟、ちゃんと持てる?」


 私は少し悩んでから首を振る。


「多分、耐えられない気がします。私には居場所が無いから・・・いつまでここに居られるか、人でいられるか、分からないから。魔法少女の力も弱くて見捨てられる事も強くてでも自分自身でコントロールできず、呪獣の状態で暴走してしまう可能性だって無い訳じゃないから・・・耐えられないと思います」


 泣きそうな声になりながらもゆっくりと言葉を紡ぐ。

 くまのぬいぐるみは私の手を握る。


「言うか迷っていたけど、前提として呪獣に体を乗っ取られる事は無いよ。君の中から完全に消えている訳じゃないけど、殆ど意思は消えてるから、君の体を乗っ取って暴走するって事は相当あり得ない」

「でも、零じゃない」

「そうだね。でも、少し話は変わるけど、魔法少女の力を持った後に豹変したように性格が変わる人がいる。呪獣倒すことに快楽を覚える様になったりする人がいる。酷い人だと同じ魔法少女を狙うような人さえいる。それに比べ、君はそうなる可能性は低く感じるし、乗っ取られたとしてもすぐに君の意思に戻るだろう。そうだね、君は一度周りの事を置いて純粋魔法少女としてやっていく覚悟があるか聞かせて欲しいな」


 全ての事を一度考えから排除して、私がシンプルに魔法少女といてやっていく事が出来るか・・・


 実際にあんな呪獣と戦い続ける事になるのかな?私が呪獣と融合してしまった事と魔法少女の才能があると言われて、居場所が無いからここにいる事に決めたけど、そういえば学校があるんだよね?

 学校として普通の勉強とかするのかな?それとも学校とは名ばかりの所だったりするのかな。


「分からないです。魔法少女という憧れはあっても、実際に呪獣と戦うとなるとちゃんと戦えるか不安ですし怖いです。学校の話をちゃんと聞いていなかったけど、その学校でも上手くやっていけるか不安です。怖いけど、やってみたい気持ちだけはあります」


 くまのぬいぐるみの縫い付けられた目を見て答える。

 くまのぬいぐるみはじっと私の目を見てから手を握ったまま何かつぶやく。


「ちょっとそのままでいてね」


 微かに聞こえた声で硬直して動かないようにした。

 のと同時に私の足元から光が溢れて魔法陣へと変化していく。

 変化した魔法陣は上に上がってきて円が私を囲っているので気になりはするものの、私は置物だと冷静を気取って動かないようにいた。魔法陣が上まで上がり切り、髪先を通り切ると胸が熱くなった。


「契約はこれで完了したよ。最後に名前だね。君の名前は【カラネ】覚えた?」

「えっと、本名は名乗っては駄目なのですか?」

「名乗ってもいいけど、危険が伴うよ?名前を単なる記号だと勘違いしては駄目だよ?君の存在を固定づける一つの要素なんだから。本名と関連する魔法や呪獣の攻撃は色々あるから、なるべく魔法少女としての名前を推奨してるよ」


 私の名前はカラネ・・・


「どうかな?今なら変更可能だけどいい?」

「大丈夫です」

「そっか、自分の属性もわかる?」

「私の属性・・・わかります」


 私の属性・・・私らしい属性


「よかった。じゃあ後は戻るだけだけど、もう少し残っていく?お菓子まだあるけど」

「いただきます」


~・~・~


 最後の最後にようやく名前を聞くことが出来た。


「僕の名前?そういえば言ってなかったね。改めて自己紹介するよ。僕は契約妖精のネラ。所謂宇宙や異世界の妖精だよ。これから何かあった際は関わるだろうからよろしくね!」


 なんだか新しい情報が増えた気がするけど、とりあえず、ネラって名前なのは覚えた。

 お菓子をもらってから、お土産分のお菓子も貰い、みんなのいる場所へ戻った。


「この空間と外の空間は流れる時間が違うから君がここまで歩いた時間しか外は経ってないけど、帰りはそのまま入り口に飛ばすから、焦らなくていいよ」


 お菓子を食べている途中に言われたこと。

 安心してお菓子を食べながら、軽い会話をして入り口まで魔法陣を利用して送ってもらった。


「おや、戻ってきたね。では帰ろうか。この後は2人に任せるよ。他の手続きは明日行うとして今夜は休息を取るといい。ではな」


 そう言ってシラベさんは飛んで行ってしまった。


「はぁ、じゃあ行くわよ」

「君がこれから過ごすことになる寮へ案内する。ごめんだけどまた彼女の杖に乗ってくれ」


 言われた通りにフヨコさんの杖に乗って移動する事になった。


 そして...


「ここが君が過ごす寮だ」


 連れてこられた場所は横も縦も奥行きもどこまであるのか分からない程大きな建物に連れてこられた。


 中に入ってわかったのはこの建物は円柱の建物だという事。

 中心にあるエレベーターを利用して上昇していった。

 すぐには着かず、しばらく経ってから目的のフロアに着いた。


「じゃあ、この扉へ手をかざしてくれ」


 部屋番号など情報の無いただの木製の扉。

 シンプルな扉の前で私は言われた通りかざす。


「そのまま、今胸の熱く感じる部分を腕を通じて手のひらに熱を伝導させるようなイメージを持って」

「いい感じだ。今は木製だが、充分になると色や扉が変化し始めて、ある程度すると止まるからそれまで今の感覚を続けろ」


 言われた通りに腕を通じて手のひらに熱を伝えてみる。

 スムーズに動きあっという間に色が変わっていく。


「へぇ・・・なに?変化しないじゃない」

「はは、こればかりは仕方ない。中入ればわかるだろ?説明もしたいから、今出来たドアノブを回して扉を開けてみ」


 光が満ちて弾けて前よりくすみが消えた元の扉がそこにはあった。

 何も変化しなかったのは悲しいけど大事なのは中身と言う事で意を決して開けてみる。

 部屋は広くなく、いいホテルの部屋の様に最低限の物とシャワーと浴槽、トイレとお手洗い場が一緒になった部屋がある。

 少しホッとして振り返ると、トウカさんがなるほどねと呟いて、話を始めた。


「よし、見た感じ問題はなさそうだ。部屋の中には特定の時間に放送が鳴り響く。今日は一度休んで明日説明するから、明日の7時ごろ、あそこの時計を見ればわかるがその辺りで君の部屋に訪れるから、そのつもりで起きておいてくれ」

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