もういらない
感覚が無い。
わからない。
最後の意識。
確か、呪獣としてみんなを殺そうとして、逆に殺してもらうこと。
もう、みんなを殺しつくしたのかな。
そんなわけないと思うんだけど。
あの場には先生もいたから。
歪む、曲がる。
私ってどんな形していたっけ?
この馬鹿!
痛い!
あれ?殴られた。
意識が今、別の意識に
アンタが、馬鹿するからこっちだって困ってんよ。
さっさと元に戻りなさい。
なんで、フヨコ先輩が
グダグダうるさいわね。
さっさと人間に戻って話するわよ
いや、です。
もういいです。
なんでここにフヨコ先輩がいるのかわからないですけど、もういいんです。
私は始めからいないんですから。
何わけわからない妄言してるのか知んないけど、どうでもいいから早く呪獣と交代しなさいよ。
・・・
どうしたのかしら?
・・・
カラネ?
《思い込み》《復体》
「・・・なんで」
「フヨコ?」
「あーもう、何だったからしら確か《交代》・・・駄目ね」
「どういうことなの?フヨコ」
「ちょっと待って・・・」
どこにある?
恐らくこれが呪獣の力で、これがウチの力。
どこに行ったのかしら?
あのバカは
「フヨコさん。お忙しそうなところ申し訳ないのですが説明していただけませんか?」
「・・・そうね。先に説明した方がいいかしら」
ウチは、話を始める。
「と言ってもそうね。端的に言えば、カラネが逃げたわ。そしてカラネが肉体の放棄とでもいうのかしら。この体をウチに押し付けたわ」
「すみませんが、順序を追って説明おねがいします」
「ま、そうよね。順番に話すわよ。まず、ウチが《与太》を使ってカラネの全ての行動を封じたわ」
「えぇ、あの目が閉じられたタイミングですわね。私が二人を助けに行ってる間に使った魔法ですわね」
「そのあとすぐに、《関与》でカラネの精神に繋がったわ。そして、一旦ぶつぶつ呟くカラネを殴ってから話そうとしていたけど、カラネはまともに会話できる状態でなく、返事をするけど、どこか自分の世界に入っていたわ。そして自棄になっている感じもしたわ。数回言葉を交わすとカラネは黙って話さなくなり、気が付いたら、こうなってたわ」
「そうですか。少しお時間をください」
「まぁそうね。現状全員一度冷静に話し合いたいから、全員が落ち着けるまで時間を取りましょうか」
「フヨコ、アンタの元のカラダはどうするわけ?」
シンラがどこか行った後にハカリが聞いてきた。
現状ウチは元々のカラダとカラネのカラダの二つがある。恐らくカラネの能力でウチのカラダになってるだけだから、身体の中に呪獣の力を感じる。
「そうね。シラベ先生ならなんとかしてくれないかしらね。ま、すぐに死ぬわけでもないし、話し合いの時にそれも話しましょう。その間テントで寝かせておいてくれないかしら。ウチがウチのカラダ運ぶのは気持ち的にも絵面的にもね」
「まぁ、優しい優しい友人のあたしが運んであげますよ」
「助かるわ。お願い」
ハカリがウチの体を抱えてテントへ運ぶ。
ウチはその様子を見送り考える。
これからの行動を。
一度シラベ先生に話して相談するはそうだけど、カラネの事。ウチの事。
永遠にこの状態とは考えないけど、それでも元に戻れるまでの事を考える必要がある。
一応《関与》でウチの元の体に戻ることは出来るけど、この体がどうなるか分からない。
カラネがどうするか分からない上にウチの後に呪獣になる可能性も0ではない。
しばらくはウチが使うにしてもよね。
「フヨコ、調子はどうだい」
「不思議ね。体の調子も心の調子も。安定しないわ。そもそも呪獣の力がある時点で不思議なのよね」
「それもそうか」
「そっちはどんな感じなのよ」
「オレの事かい?それとも、1年生達の方かい?」
「両方よ」
「やはり、フヨコはフヨコだね。オレは大丈夫と言いたいけど、君がそんなんじゃね」
「まったく、気にしないでいいのに」
「そんな気楽にいられないよ。大切な人だから」
「あっそ、で1年生はどうなのよ?」
「不思議と動揺していないね。寧ろなんで周りが焦っているのかわからないみたいだ」
どういうこと?
「ふふ、どうやら、彼女達は呪獣を脅威としてみていない。まるで子供のようにカラネの呪獣の姿をはしゃいでみていたよ。それと・・・」
「それと?」
トウカは言葉を探すように考えていた。
「そうだね。あまり口外しない方が良いことだが、まず、ジュオンという子はカラネの呪いを下手な使い方と言って、こちらへ来た呪いを全て吸収した」
「はぁ!?」
「ふふ、まぁ驚くよね。オレも驚いたからね。でも、彼女の属性がそもそも【呪】だということから当たり前ともいえる」
「いや、まぁそうだけど」
「次にリュウネ。彼女は呪獣ではないが、竜になれる」
「それもちょっと気になってることなのよね」
「言葉通り竜。ドラゴンとも言えよう。しかも、部分変化もできて、暴風に対し、巨大な翼生やして風を打ち返していた」
「あの災害レベルの暴風を?」
「あぁ、打ち返した際の強風すら涼しいといって4人とも楽しんでいたな」
話すたびにトウカが疲れた様子を見せる。
「他の二人は今話したジュオンやリュウネ程でないが、マンラは対抗心を見せていたし、ハネカネは関心していた。1年の4人もカラネと比較しても異質だったな」
「なんで、今の1年は問題児しかいないのかしら」
「ふっ、面白いなぁ」
「やめなさい」
「喧嘩はしないから安心して大丈夫だよ」
「まったく」
頭痛の種を増やさないでほしいわ




