チヨ先生とタイマンです
「まだまだ、もっと本能に従って戦えるはずです。もっと鋭くやりましょう」
チヨ先生と戦闘をしているけど、どうすればいいのかわかんない。
何しても攻撃当たらないし、そもそも実力差があり過ぎてる。
「《交代》・・・あれ?」
呪力から誰の意識も交代してくれない。
あわあわしてると
「魔法不発で立ち止まってたら的でしかないですよ」
思いっきり殴り飛ばされた。
変身してるのにかなり痛い。
「カラネさん、一度休憩しましょうか」
手に纏っていた魔法を解除して私に近づいてくるのに気づいて私も変身を解く。
私の前に立って、腕を組んで考え始めた。
私はそれを見て、何となく正座をしてしまう。
「なんで、正座に直したのか分からないのですけど。はぁ、カラネさん。一度あなたの中に理想の魔法少女を思い浮かべてください。その魔法少女の動き、行動を真似して戦いましょう。その際に心の中に自分をもう一人作るのです。魔法少女の真似をする自分と、それを観察する自分。この客観的に自分を見ると言う事は意外と重要な事なので普段からしていると、ミスが減ったり理性的な人間になりますよ」
チヨ先生はそういうと元の立ち位置に戻っていく。
私の理想の魔法少女。
魔法少女の戦い。
私の中で昔見ていたアニメや漫画なんかの魔法少女を浮かべて構築する。
私の中で色々案を出す中で私に近い感覚のキャラを思い出した。
元々敵側の存在だけど、魔法少女に光落ちしたキャラクター。
光落ちしても、敵側の力が使えて苦悩していきながらも仲間に助けられて、吹っ切れるキャラクター。
「準備よさそうですね。いつでも好きなタイミングで攻撃仕掛けてきて構いませんよ」
私は呪力で杖を剣に変化させて、以前交代で使ってた影鎧をイメージし、魔力を練って体に纏い呪力で固定化させる。
私の服を魔力と呪力で変化させられないか流してみるけど、ダメそうなので、身体に纏った呪いを呪力で変形させて体にフィットさせて、形を整える。
そういえば、今の私を客観的に見る私もいるんだよね。
並行思考ってことだよね。
戦いをする思考と冷静に分析する思考。
あっ・・・
「《人格生成》」
簡単にできてしまった。
というか、体感的にふんわり元々あったのがはっきりとした感じ。
それに一つだけじゃなかった。
「《思い込み》」
1人の私がそのキャラだと思い込む。
なりきる。
それによってよりはっきりとイメージを持って服装や剣の形を変える。
「私は私でしかない。解放する、私としての意識を、認識する、全てが私だという事を、集え私の力。私は私を突き通す。喰らえ、私の思い!」
凄い勢いで呪力と魔力が剣に流れていく。
なんか私の発言恥ずかしいな。
思い出せないけど多分、なりきってるキャラのセリフだよね。
私が私に殺されそう。
そんな私を置いて戦う私はチヨ先生に剣から溢れるほどの力がある攻撃を与える。
チヨ先生は大きく移動し、回避した。
「流石に凄いですね。私のアドバイスがこんなに効果的とは想像していませんでした。恐らく属性に合っていたんですね。今のは掠るどころか溢れるエネルギーに触れただけで呪われそうですね。しかしながらその程度なら私は大丈夫ですよ」
少し焦った様子だけど、言葉は大丈夫そう。
「まだまだ!私は止まるわけにはいかないんだ!」
振るう度剣から力が無くなっていく。
振った先に衝撃として飛んでいるだけで、チヨ先生に当たる事はない。
私は振るう度に徐々に加速をしていた。
「そろそろ止めますか」
チヨ先生が呟くと、一気に距離を詰められてチヨ先生の一撃が私のお腹に直撃し、魔法が解けてしまう。
私は電池が切れたように倒れる。
意識はあるけど、聞き流すことしかできない。
うなずいたり返事する事が出来ない。
「まぁ、やはり、固有魔法中心に戦闘するのがよさそうですね。カラネさんの場合は、呪獣の力と魔法少女の力、その狭間のせいでぶれているように思いましたが、おそらく今回のように戦う人格に合わせた戦闘が一番合うのでしょう。以前のように魔法少女の力を使う自覚もあれば、今回のように魔法少女の力も呪獣の力も使う人格、もしかしたら呪獣の力のみの人格もあるのかもしれませんね。これはカラネさん次第ですね。引き出しを増やすのはカラネさん自身以外にはできない事なのであなた自身が頑張っていくしかないですね」




