飛ぶのって意外と大変なんですか?
「よくあることですが、3年生になるとチームに属し、様々な活躍できる環境になるので自身に溢れている方が沢山います。力に自信があるのはいいのですが、どこか慢心した気持ちを持ちがちです。私を相手に手も足も出ない程には私の事を舐めていましたよね。なぜなら私を単に回復のみしかできない魔法少女と認識していた先入観があったから。ちなみに私よりもシラベさんの方が動けますからね。彼女場合自己評価が低いので、あれですが、あなた方は自己を高く評価し、先入観で挑む程に慢心している状態です。今回の合宿では私に一撃でも与える事を目標に取り組みましょうね」
目が覚めたら先輩方が正座して説教を受けていた。
チヨ先生は普通に笑顔なんだけど、言葉に圧を感じる。
「カラネさんは、起きたらこちらへ来てくださいね」
少しぼやっとする頭を振り払って、指定された場所へ行く。
何となく先輩に倣って正座する。
「なぜ、正座するのはわかりませんが、まぁいいでしょう。カラネさん。最後に呪獣の力、確か呪力と呼ぶようにしていましたね。呪力で呪いを生み出して私に与えようとしましたよね?」
「は、はい。ごめんなさい」
「いえ、謝ることではないので大丈夫ですが、カラネさん。貴方はどうなりたいのですか?」
「えっ、その、どうなりたいって?」
「あなたの行動はバラバラで安定しません。初めは魔法少女の力で、授業も全て魔法少女の力のみかと思えば、本番で初めて使う魔法を使い、今回は呪獣の力、呪力で戦い。あなたはブレ続けているように感じます。器用に全てを扱いきる訳でもなく、魔法少女として戦うのと呪獣の力で戦うのと、その中間に感じるあなた自身の固有の力で戦うのと、全て個々で扱い、あなたの方向性が見えません。まだ、1年生。それも入りたてですが、教える以上あなたの方向性が定まっていないと教えづらいものもあります。貴方はどうなりたいのですか?」
私は・・・
どうすればいいのかな。
私も知りたい。
「そうですね。答えを急がせるつもりはないと言いたいですが、面倒なので、ここは頭空っぽにして、脳筋になり、ひたすら戦いましょうか。カラネさんは、答えが見つかるまで合宿期間中誰かと常に戦闘しましょう」
「はい?」
~・~・~
放課後にシラベさんに4人も一緒に行っても大丈夫か聞いたらあっさり許可下りた。
私たち5人のグループチャットで報告したらみんな喜んでいた。
夏休み一日目は準備の為、先に現地にシラベさんが向かっていて、私たちはチヨ先生と一緒に二日目から向かうことになっていた。
「忘れ物は大丈夫ですか?今日は一年生もいるので飛ばさずに程々の速度で移動しますよ。私が先導するので、一年生は私の後に続き、三年生は一年生のサポートをしながら後ろからついてきてくださいね。何かあれば端末に連絡するか、魔法で伝えてくださいね。では、準備はいいですね?行きますよ」
いつもの着地場で集合し、そこから出発する。
相変わらず特徴のないトンネルで、先生は何故迷わずに進めるのかわからない。
私が帰るのを間違えないのは交通量で判断しているからで、似たような服装の人たちが向かう方向へ向かうことで覚えていない場所を進み家へ帰ることができていた。
本当に訳が分からない。
暗記すればいいだけの話ではあるけど、シンプルに右に曲がる場所が二つ過ぎた次の穴とか、右に一度曲がってから上の穴へ進むとか、そのくらいの単純な道なら覚えられるけど、右行ったり左行ったり、上行ったりした行ったり、もう方角もぐちゃぐちゃではぐれたら追いかけるどこか戻ることもできない。
「もう次のトンネルを抜けた先なので頑張ってくださいね」
そういえば、この空間は一人の魔法少女が作った空間なんだっけ。
普通に全国の魔法少女を集結させるだけでも凄いのに、こんな空間の数、トンネルを用意して、魔法で維持もしてるはずだから、もう雲の上の存在過ぎる。
「そろそろ出ますよ」
そう言ってすぐに見えるのは広い空の下に広がる緑の森だった。
本当に自然しかない、人工物が一切ない森が目の前に広がっていた。
「うんうん、みなさんちゃんとついてこれましたね。着いたら今日はゆっくり休んでください。明日から始めるので。ではシラベ先生の元へ向かいますよ。一年生のみなさんは大変かもしれないですが、もう少しなので頑張ってくださいね」
私は平気に感じていたけど、みんな顔がヘトヘトの表情をしていた。
私はシラベさんの元へ着くまでみんなの様子を見ながら飛んでいた。
「ようやく来たか。ふっ、流石にへばっているな。よし、荷物は片づけて飯にするぞ」
着いた場所は広く開けた場所で、既にいくつものテントが建てられていた。
シラベさんの指示元でどこで寝泊まりするか振り分けられた。
一年生は一年生で固まり、一つのテントを使用した。
テントは広く、五人全員寝転がっても問題ないスペースがあった。
「荷物が片付いたものから飯の準備を手伝え。簡単にバーベキューをするぞ」
テントの外に出ると既に先輩方が野菜や肉を切り始めていた。
シラベさんにできることを聞き私たちも手伝い、バーベキューが始まった。




