特別授業の一週間 7日目
7日目
今日が座学だったけど、少し上の空になっていた。
「じゃあ、模擬戦闘始めるわよ。準備はいい?」
「ええ、大丈夫ですわ」
「私も大丈夫です」
「じゃあ、始めるわよ。開始」
私は早速新しい魔法を使う。
「《交代》《逃避》」
シンラ先輩はきょとんとする。
私の魔法について驚いたのかな。
始めの《交代》は場所の交代では無く、私の中にあるスイッチを押す感じ。人格を入れ替える魔法。といっても多重人格者ではないから人格なんて入れ替えれないそう思っていたけど、そうだよね。
私の体が変化していく。
肌が黒く変化して、顔に複数の目が出現する。
変化はそこでとどまった。
パット見だけど、でも手にも口が出来てる。
そして、手の口がしゃべり出す。
「《影鎧》《影剣》《変形》」
私の声で私の知らない魔法を使う。
というかどの魔法も知らない。
私が人格を入れ替える際に使った入れ替える人格は呪獣の力にあった人格。
ただ、入れ替える際に拒まれてしまったけど、仕方なしに答えてくれて人格を入れ替えることができた。
「くっ、なんですか。この力。本当にカラネさんですか?呪獣の力を開放したのかと思いましたけど、それも違いますよね。なんですか」
「シャベル、ヒマ、ナイ」
「ええ、そうですね。こちらも本気で行かせてもらいます」
私の体で黒い鎧を纏い、黒い剣を二つ持ちながらシンラ先輩に攻め続けていた。
片方は魔法で片方は杖のはずなのに、どっちが魔法の剣かわからないくらいそっくりで、私の変身した姿もいつの間にか鎧と同化し、洋風な騎士のような姿になっていた。
「《影翼》ッチ、ダメ、ムリ」
なにか魔法を使おうとしたけど、発動しなかった。影の翼?
「私とて、遊んですごしていたわけではありませんので!《影縫い》」
シンラ先輩の針が私の影に刺さる。
影に刺さった部分と同じ部分に痛みを感じる。
動こうとした瞬間、痛みを感じる部分が激しく感じた。
「私の魔法《影縫い》は刺した部位を固定するので、無意味に動けば外れますわ《人針抜き》」
地面に刺さった針が影を泳ぐように動く。
針が刺さる度に痛みが走り、身体が動かしにくい。
「サスガニ、ムリ、《交代》」
私の魔法が使われて、私と交代しようとすると、私を押しのけて誰かが入れ替わる。
「じゃあ、私に見せてあげる。《逃避》」
私の魔法?
驚くのも束の間。
針の刺さっていた地面と離れ、シンラ先輩の背後まで移動していた。
「《麻痺針》これで終わりでいいかな?フヨコ先輩」
「えぇ、勝者カラネ。チヨ先生。シンラに治療を」
「いえ、任せてください。《解毒》じゃ《交代》」
あっという間に模擬戦闘を終えた。
私ですら何が起きているのか混乱してるのに周りの人は余計に混乱していそう。
「カラネ、今のは?」
「えっと、私の魔法《交代》で人格を入れ替える魔法です」
「ふむ、しかし、今のは明らかに別人ではないか?おそらく二度入れ替わっているはずだが、初めの時は謙虚に表れていたはずだが」
「はい、えっと、呪獣の力。私は呪力って呼んでますが、その力の中に意思を感じて、この魔法を覚えた後の今日に呪力の中の意識と交代したのですが、想像を超えていました」
「はぁ、ぶっつけ本番だったのか。まぁ私が元々使ってよいと言っていたが、呪力の方ではなく、中にある人格を利用するとはな。しかし、興味深いな。呪力に人格か」
「まっ、よくわかんねぇけど、面白そうじゃん。あとで戦おう!カラネ!って痛て。何するんだい。カラネ」
「トウカの悪いところ出てるっての。カラネ。あんた、あの人格というか恐らくまだほかにも人格残っているんでしょ。なにが起きてるのか知らないけど、あんた自身の為にも把握して起きなさい。ウチも手伝ってあげるから」
「それなら私もですね。まだまだ力不足を感じましたし、何よりもやはり、カラネさん。私の魔法使えますわよね?」
あっ、そういえば、最後に使ってしまった。
でも・・・
「えっと、以前間違って貰った魔力で使えましたが、もう魔力が無いので使えないです」
そう、以前呪いと共にシンラ先輩の魔力をもらってしまい、一緒に魔法を使うことができた。
しかし、シンラ先輩の魔法な為、シンラ先輩の魔力が無いと使えない。
「そうですか。では、今度差し上げますので、練習に付き合ってもらいますね」
「えっ」
「あーそういえば、シンラってトウカに近い人種だったわね」
「は?だれがシンラと似てるって?」
「私も心外ですよ?」
「アンタら、外面は良いけど、中身は戦闘の事しか考えない戦闘狂じゃない。今更何言ってるのはこっちなんですけど?」
「まぁ、彼女らは置いといて、カラネ。キミの為にもキミの力を知りたい。私の研究にも付き合ってもらうよ」
「とりあえず、カラネさんは、治療しますね」




