特別授業の一週間 6日目後半
「先ほども言ったが、魔法少女についての記録は残されていない。元々散らばっていた為、それぞれが地元で活躍をしていた。縄張りのようなものだな。だからこそ情報閉鎖ではないが、魔法少女同士互いを知らずに生きていた。十五年前、とある1人の魔法少女。この魔法少女は各地に散らばっている魔法少女を纏め上げ、この場所に集結させた。その理由については不明で、当時生きていた魔法少女らも何故ここに集まったか、何かと戦った気がするけど、思い出せないとみな口揃えて同じようなことを言う。とあるルートで嘘のように聞こえるかも知れないが、彼女らに真偽を確かめる魔法を使い調査した結果な以上、嘘でないことは確かだ。そして、彼女らと言えども、自力で呪獣と戦う術を学んだとは考えづらく、先輩やどのような呪獣と戦ってきたか、質問をしたところ、その記憶も存在しなかった。彼女らは全員、ここに来る前の魔法少女としての記憶が存在しなかった。ただ、人間としてなんという名前でどの地方でどこに住んでいて、どの学校に通っていたか、交友関係など、魔法少女として以外の記憶があった為、魔法少女というあまりに限定的な記憶のみが消えている以上魔法、または呪いと考えるのが妥当だろう。しかし、キミも知っての通り、呪いは背中に模様が浮かぶ。だが、彼女らには模様が存在しなかった。特殊な呪いの可能性もあるが、それよりも魔法少女の魔法によって消えたことが有力説となった。話は逸れたが、十年前以前の魔法少女の記憶が存在しない以上記録もないので、教えられるのは十年前から現在に至るまでの話になる」
シラベさんは手元にあった水筒を手にして水分補給をした。
「十五年前から十年前の間魔法少女をここに魔法少女を集結させた人物は、現在のこの空間を維持する魔法少女だ。名前は知られていない。恐らく契約精霊が知っているだろうが、聞いてもはぐらかされる為聞いても無駄だろう。次に、この学校というか基本的に使える空間全てを総合してカゾの地と呼び、この学校、カゾ魔法女学校を作り上げた人物。彼女にはキミも会っている。カゾというのは彼女の名前だが・・・覚えはないか?」
私の出会ってきた人物を思い浮かべる。
う~ん、クラスメイトはわかるし、先輩も関わった人たち全員は覚えている。授業の先生もわかる。医務室の先生はチヨ先生だし、あとは・・・だれかいたかな。
「まぁ、あの時はバタバタしていたし、混乱もしていたし、仕方ないか。キミを入学させた赤髪の長髪のスーツを着た女性だ。独特な口調の方だ」
スーツ姿で、ビビットきた。
始めてここに来た時にずっと傍にいた人。
「わかりました。あの時の」
「あぁ、そうだ。始めに魔法少女について説明した時に一緒にいた方だ。あの人がカゾでこの空間の殆どを管理している。基本的には外部に繋がる場所で仕事をしているが、偶に学校へ顔を出すこともある。割と気まぐれな性格な為、ふとした瞬間に現れることもある。あの方は十五年前に集められた魔法少女の一人で、一番親しみがある人物とも言えよう。実際に戦場へ出て活躍する話は聞かないが、噂の範疇だがこの場所の太陽を魔法で作ったという噂ができるほどには腕があると思っておいて良いだろう」
えっと、カゾさん。
この空間の使える空間全てをカゾの地と呼び、カゾさんが管理者となっている。
噂の範疇だけど、太陽を生み出すほどの魔法を使える魔法少女。
「次は同じくというよりは記憶が浅いかもしれないが、この空間と外部を繋ぐ建物の保護を行う結界師。ユイだ。彼女は十年前の魔法少女の1人で、現在は防衛隊の1人であり、防衛隊の幹部となっている。防衛隊についてはいずれ説明するが、簡単に言ってしまえば、戦闘する人達と防衛する人たちがおり、防衛する人達の中で最も位の高い人物だと思ってくれ。彼女のおかげでこの空間の平穏が守られていると言っても過言ではないほど、活躍をしている。彼女は結界を使う魔法少女で防御としては非常に優秀な反面攻撃が点で駄目な人だ。だが、時にはその結界は攻撃に利用できるため、彼女を怒らせない方がよいだろう。禁句ワードは貧乳だ」
なんで怒らせていけないと言いながら、禁句ワードを教えるのかな。
というか禁句ワード知っているって以前言ったことあるのかな。
「次は反対に戦術隊だが、この方は基本指揮官として活躍しており、表に出るのは異常事態があるときのみ。キミは後々関わる人物だろうから覚えておく必要もあるな。名前はシキ、シンプルで分かりやすいだろう。彼女は全部隊の最高指揮官として、彼女の命令は戦術隊にとって絶対の命令となる。シンラは彼女の部隊の堅忍の第三部隊、隊長だったか。これも後に話すが、シンラの上司の上司ということになるな」
戦術隊について、詳しく知りたいけど、今は違うなぁ。
トウカ先輩やフヨコ先輩も入るんだろうけど、実は先輩達の事あんまり知らない。
シンラ先輩が二人の事をライバル視してるのも気になる。
けど、今聞くことじゃないから今は飲み込もう。
「次は保護魔法のアンナ。彼女は今までの人物達とは違い、街中で現在も活躍している魔法少女だが、通称はマダム。街中の営業は彼女の監視下で行われ不正したら何が起こるかわからない。街中で話した内容は全てマダムに聞こえていると思えっと言われるほど彼女は情報に長けている。普段は普通にお店を経営していて、気が付かないかもしれないな。なんといっても彼女の魔法は七変化とも呼ばれ、姿が定まっていない。会うたび姿が変わるから初見では全くわからないだろう。買い物している分にはいいが、営業したいとなると彼女と対峙することになるから覚悟しておいた方がいい」
マダム・・・
私も前に街に行ったときにどこかですれ違っていたりしたかな。
「最後だが」
シラベさんは少し言い淀む。
私がシラベさんの顔をじっと見ていると観念したかのように話す。
「最後だが、開発部のシラベ。私だな。自画自賛をしたいわけではないが、その端末やこの魔導パネルなど、私たちが開発した代物だ。私が代表者扱いをされ頻繁に出されているが、私がなぜか最高責任者だ。まぁ理由はわからなくはないが、私は今まで紹介した人物らと違い、5年ほど前にここへ来た。固有魔法は得意だが他は駄目で戦闘などまともに行えん。まあ何か欲しいものがあれば、案を送ってくれると開発部の誰かが作り魔改造されて公開されるだろう」
私はシンプルに驚いた。
この端末はかなり使いやすく、オーバーテクノロジーのような気がしていた。
てっきり誰かの魔法で生み出されたものだと思っていたけど、違ったんだ。
「以上6名の事はテストで出ることだから覚えて置け。私は後から現れたが、それ以前から開発部は頑張っていた。だからこそ現在の環境がある。私を除く者たちがそれぞれの主としてこの現在の形を作り出し、戦術隊が外部から魔法少女を見つけて連れてくる。そうしてこの空間は形を少しずつ変化させながら、今の形になっている。ここまではいいか?」
私はメモを取り頷く。
「話を戻すが、魔法少女について、説明を改めてする。わかりやすいようにここに一人の魔法少女を元に話そう。彼女は生まれつきで魔法少女の才能を持っている。小学生の頃、呪獣に襲われ、魔法少女の力を魔法少女の変身が行えるほどまで上がっており、彼女は変身して、魔法を駆使して呪獣を倒す事とする。ここまでで知れる事は魔法少女の力は生まれつきで、魔法少女の力は一定以上で変身でき、魔法を覚える事ができ、呪獣を倒す力がある。ここまではいいな?次に、彼女はそれから過ごす中で呪獣に襲われる事が増え、その度に呪獣を倒す。すると魔法を覚える事ができた。彼女が覚えたのは固有魔法だ。ここで、一度話を止めるが、魔法少女の力は呪獣を倒すことで上がる。これは2年3年の範囲で一年目に教える内容ではないが、特例だ。力を上げようと外の世界へ行かないようするため、2年からとなるが、まぁいい。力は時間経過でも増えるが、呪獣を倒すことで増す。まるでゲームでモンスターを倒してレベルが上がるようにな。そして、力が増すと変身後の姿にも異変が起きる。服装がよりその人にふさわしい服装へとな。そして、属性に変化が生まれる。いや、元々あった力が進化するというべきか。例えば火の属性だとしよう。力が増すと火炎の属性となったり、火災だったりする。まぁ漢字にが二字熟語になる。また炎や燃といった類似の漢字になること稀にある。更に力を増すと3字熟語になるが、ここに至るのは極一握りだと思った方が良い。先ほど言った者たちが3字熟語と考え、その下が二字熟語、他が全員一文字だと思え。それくらいの難易度だ」
「シラベさんは三字熟語なんですか?」
「いや、二字熟語だ。呪獣狩りはしていないしな。ただ後にも話すが、力は思いに答える。先ほどの例にだした魔法少女は呪獣に出会い、呪獣を倒したいと思うその気持ちで魔法少女の力を発現した。気持ちというのは意外と大きな力を生み出す。だから呪獣を倒さずとも気持ち次第で3字熟語までできるという話だ」
「三字熟語が限界ですか?四字熟語とか、五字熟語とか」
「それこそ、あまりにも雲の上の話だ。恐らく存在はするだろうが、困難な道のりだと容易に予想ができる。それこそ神の領域だったりするのではないか」
確かに、太陽を生み出したと言われるカゾさんでも三字熟語だとすると、四字熟語は神様のような魔法なんだろうな。
「話は逸れたが、魔法少女と呪獣は似ていると思わないか?魔法少女は呪獣を倒し、力を得る。呪獣は魔法少女を喰らい、力を得る。そして、変身中は姿が一般人には認識されない。呪獣は力が弱いと一般人から認識されない。呪獣について魔法少女説が上がるほどに似ているが、まぁ容姿や大きさが違う時点で候補から外れているが、一部ではその認識があったりするくらいには似ている存在だ。と話が逸れたな。さっきの魔法少女の例を出すが、彼女らは魔力を使い切ると死ぬ」
「えっ」
魔力切れの経験はあるし、何度もやると死ぬと聞いたけど、魔力を使い切ると死ぬ?
「実は私たちは保護されている。契約精霊によって。契約精霊についても情報が無いが、私たちに何をしたのか一部情報を開示してもらった。その内容として、魔法少女には元々魔力を回復する手段がない。契約精霊によって私たちは魔力を生成する器官存在する。それを保護するための何かしらの保護はされているが、詳しい話はわからなかった。ただ、魔力をほどほどなら大丈夫だが、全て使い切るとその器官が激しく消耗し、場合によっては死ぬ。しかし、契約していない魔法少女たちはそもそも器官が存在しない為、魔力を使い切り死ぬ。これは現場から聞いた話だな」
契約精霊がいないと魔法少女として活躍することができなかった。
「そこから過去の魔法少女達は呪獣を倒しても魔力切れで死んでいた魔法少女が多く、長命な魔法少女がいないと推測されている。この空間を生み出した魔法少女もまだ若いと聞いたことがあるしな」
ふと気になったことがある。
以前契約精霊について聞いたら、わからないと答えられたような。
「まぁ、これは機密事項の内容でもあるからな。あまり公に話してはならない。それと契約精霊から名を授けられるが、これは魔法少女の保護が主だな。代わりに魔力を偶にもらっているとも言っていたから協力関係には変わりない」
衝撃はあるけど、納得することにした。
「補足はそれくらいか。属性と魔力、契約精霊についてがあるな」
私はメモしながら思う。
この私の融合したのが魔法少女だったとしたらと
私たちは魔法少女を倒しているのではないか。
実は幻覚ではないのか。
そんな想像をしてしまった。
~・~・~
私は授業の内容が衝撃で、模擬戦について質問するのを忘れたまま帰宅した。




