特別授業の一週間 1日目前半
それから1週間のスパルタ授業が始まった。
1日目
1年生の内は汎用魔法をひたすら覚えるとはいえ、5科目を疎かにするわけにはいかず、5科目の授業は参加し、魔法を覚える授業は特別授業となった。
特別授業には、タイミングが合う人が参加してくれるのだけど、初回ということもあって初めは全員集合した。
「私とチユはサポートに務める。お前たち4人で互いに戦い合え。戦うルールはお前たちで話し合え。トウカ、フヨコ、シンラは互いに実力を知っているだろうが、カラネは始めての戦闘にもなるな。カラネはその他の系統だ。固有魔法は既に見せてもらったが、正直どう化けるかわからん。カラネの魔力操作は1年にしては優秀だ。それにカラネ。呪獣の力は使ってよい事とする。但し命を取る行為は禁止だ。トウカ達は先輩として、カラネは先輩に胸を借りる気で互いにやり合え。では、始め」
そうして、先輩方は変身したので、私も変身する。
この変身後の服装は変更できないから、ちょっと困る。
フヨコ先輩やトウカ先輩の変身した姿は以前も観た事あるけど、ちゃんと見た事がなかった。
フヨコ先輩はザ・魔女って雰囲気と地雷系の服装がミックスされた感じの服装。
トウカ先輩は動きやすそうな服装で関節部分の服は布が無かったり、逆にゆったりとしていたりする。華美な装飾がある物の服装全体から見たら目立たずけど、無いと違和感があり、気品差を感じた。
そしてシンラ先輩は始めてみるけど、足とか動きやすいようにスカートが短く、でも肌の露出が少なく、緑のタイツで覆われていて、白い長ブーツをはいていた。パッと受けた印象はドレスだけど、ドレスにしては動きやすそうな恰好で、可愛い印象を持った。
「カラネ、君真っ白いね」
「あんたのその服装久しぶりね」
「しばらく、指揮に回っていましたからね。それより、ルール決めです。とりあえず、1vs1の総当たり戦でよろしいですか?」
「制限時間を設けて、置こう。とりあえず、10分ほどでどうかな?」
「いや、5分で充分でしょ。一組一組行う形でいいわね。ちゃんと観戦しないとわからない事があるし」
「そうね。カラネさん。そんな感じでよろしかったですか?」
「えっ!?あ、はい!」
「じゃあ決まりですね。えっと順番はどうしましょう」
「じゃあとりあえず、ウチらで戦うわよ」
「分かったよ。瞬殺するわ」
「やってみなさいよ。日頃の恨み晴らさせてもらうわ」
先輩同士で次々は話が進み、戦闘が始まる
「さっさと見せろよ。お前の地味な魔法」
「いやよ。あんたカウンター狙いじゃない」
「そうだな」
雑談混じりに攻防を繰り返す。
魔法の打ち合いのような試合になると思ったら、ガッツリ肉弾戦で鈍い音が聞こえる。
「それよりもあんたこそさっさと魔法を使いなさいよ」
「はぁ、ラチが開かねぇし使うか。フヨ、今まで通りのオレと思うなよ」
「ふん、あんたのことくらいお見通しなんだから。全く最後まで気が付かないなんてほんとに馬鹿ね。《起動》」
「は?うわぁぁぁ」
「これは場外だな。勝者フヨコ」
シラベさんが右手に持っていた赤い旗を揚げる。
私が何が起きたのかわからずにいると、戻ってきたフヨコ先輩に教えてもらった。
「仕組みはシンプルで、ウチが接近戦でひたすらトウカに触れてウチの魔法を打ち込んで、最後にキーワードを発動すれば、打ち込んだ魔法が全て発動するってだけ。打ち込んだ魔法は対象の重力を減らすだけの魔法だから打ち込んでも気づかれにくいし、死なない魔法だから安全性も高いの。こういう模擬戦ではオススメな手法よ」
「安全ってオレが、そういう魔法持っているだけで、本来なら落下死するわ」
「あら、早いじゃない」
土を被ったトウカ先輩が戻ってきた。
話的に今回使った魔法はトウカ先輩が魔法を使って安全に戻ってきただけで本来は普通に死ぬ可能性がある魔法だったってこと?
それを何事もなかったかのように話し合いながら行使していたってこと?
ちょっと私は、フヨコ先輩から距離を取った。
「じゃあ、私たちのですね。今度は」
そういって舞台に立った。




