新しい力を得て、屋敷を得て、次の計画へ
みんなが一斉に去っていくと、私は奥へ歩みを進める。
「どこだろう」
そりゃ私だって、ただの気まぐれだけでここを壊しに来たわけじゃない。
探し物があってここに来たの。
探し物するついでに遊んでただけ。それなのに面白そうなものがあったから時間かかっちゃったな。
ふわふわした足取りで歩き進める。
遠いな・・・
無駄に広いから困る。
もっと壊して進みやすくすればよかった。
めんどくさい事に地下にあるから歩き疲れるなぁ。
ようやく歩きついた先には大きな重厚な扉があった。
「ここかな?」
私がその扉を開こうと押してみる。
ビクともせずに、動かない。
「・・・はぁ」
思いっきり回して蹴り上げてみても開かない。
う~ん。どうしような
とりあえずペタペタ触ってみる。
う~ん、うん?
なんとなく、魔力を流してみる。
すると魔力に反応して、光始める。けど、足らないっぽいなぁ。
加減しながらながして扉に魔力を満たす。
満たされた扉はゆっくりと静かに開くと共に中から無数の黒い手が伸びてくる。
私は呪力で構成されたものだと思い込んで取り込もうとしたけど、違うみたい。
魔法っぽいね。
呪力で上書きして、無理やり制御を外して放置する。
う~ん、なんか見覚えある気がするんだけどなぁ・・・
思い出せないや
私は黒く、先の見えない魔法を無効化しながら進む。
地面も魔法で構成されているせいで、足が掴まれたりするけど、今の私の肉体なんて自在だからあっさり抜け出せるし、魔法も無力化してるから、無駄な行為でしかない。
本体がどこにいるかわかんないから食べられないのが困る。
ここのどこかにあるはずだから暴れて壊すわけにはいかないしなぁ・・・
そもそも私が探してるものって一度しか見たことないから見て判断できるか自信ないんだけど・・・
まぁいいっか
~・~・~
面倒過ぎて、そろそろ私は魔法を無力化するのをやめる。
「《夢底空間》」
「ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”」
およ?
幽冥の空間を生み出したけど、苦しむ声が聴こえる。
「ア”ア”ア”ア”ア”・・・あぁ・・・ありがと・・・」
ん?
なんか言われた気がするけど、それよりも黒色で塗りつぶされた空間が消えて、ようやく普通の空間に戻り、恐らく私が探していた物がガラスケースの中に入って照らされている事が分かりそちらに意識を持っていかれてた。
「あれれ?一つ足らない・・・?」
杖に羽に、石に服。
四つはそろってるけど、もう一つがない。
「ん~~~~!後で考えよう!それよりも先に回収だね!」
私は一応部屋の中を見て、監視カメラとかない事を目視で確認する。
魔法があったらわかんないけど、多分大丈夫そう。そういう気配は感じないし
私は一斉に破壊して四つ全てを回収する。
そして私の体に取り込み吸収する。
「あっは~!ヤバイヤバイヤバイ!!!」
私の体が歪む。
杖が歪に歪み、交じりやがて一つになる。
私の今の少女姿から翼が生えて、全ての翼が混ざって真っ白な大きな鱗のようなものが生える。
私の体内から呪力が失われて石に吸収されて杖と混じり、杖の中に輪が出来て輪の中心に黒くて丸い石が収まる。
私の魔法少女の衣装がまとわりついて、おへそを出して胸を隠すだけの面積の変化し、下はぱっと見スカートのような短パンになり、黒いタイツを履き、黒いショートブーツに蛇のリボンがつけられる。
その上にシースルの蛇の模様が入ったトップスを纏い、薄ピンクのチュールスカートのミニ丈が伸びる。
背中に生えた鱗のような翼は腕に纏わりついて輪っかになった。
「・・・・・・ハァハァ」
一瞬だったと思うけど、私の骨格と言うか存在が書き換えられる感覚があって意識が飛ぶかと思った。
でも、そんな気持ち悪さも吹き飛ぶくらい今は清々しい気分。
なるほどね。
新しい力とか、失った力とか判別はつく。
少なくても今の私は普通の魔法少女だわ。
「キハハハハアアア」
ヤバイ、高揚感が止まんない。
興奮が止まらない。
「これはヤバイネ。本当に・・・これを求めてたんだね。それは求めるよ・・・うんこれは求めてしまうね。うん?あぁそうなんだ・・・いや、もういいかもやっちゃっていいよ」
私の背後に呪獣が現れたから対応する。
残党を見つけてきてくれたらしいけど、もういいかな。
「《交代》」
試しに魔法を発動すると杖を中心にして私の体が一回転して石に吸い込まれてその反対側から呪獣の姿が出力される。
赤みがかった灰色の体が現れる。
複数の目なのか口なのかわからない穴が開いている一本の棒に翼と足が生えた状態。
私を食べた呪獣をスタイリッシュにしたような否、改良した姿になってる。
「アハハハハハハハハ」
尻尾のように杖が刺さっている。
私がイメージすると杖から赤黒い液体が垂れて、次第にその量は増していく。
「《この場所には何もない。否、存在はあったが誰も記憶していない。今もなお、この場所は存在していて認識できない。だが、私は認識した。そして不要と感じただから消そう。他の者は覚えていない。何かがあったけど、大した事じゃない記憶に変換してしまおう》」
私は詠唱しながら考える。
この場所を消してしまいたいけど、まるごと消すの勿体無いよなぁって
だから、詠唱を書き換える。
力を変換する。
「《不要と思うには軽率だ。だから、変質させよう。この場所は私の力の一部である。私の力の一部故に誰にも認識できない場所と化す。夢幻空間屋敷》」
一瞬、赤黒い液体が光ったのを認識すると元々の館は消えて、新しく赤黒い屋敷が現れる。
私は一瞬で地上に戻されて、薄く屋敷の周りを赤黒い膜が張っているのを認識する。
私は人間の姿に戻り、屋敷の中へ入り一番の奥の執務室の椅子に座る。
「さて、残りの計画を練ろうかな」
そういって、私と繋がる呪獣に力を与えて関係を切った。




