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解呪完了


 私は次々と解呪していく。


 途中から呪獣の力が流れる道に切れるような痛みが走る。

 けど、我慢できないほどでもない。


「大丈夫か?カラネ」

「大丈夫です。まだ、できます」


 ちょっと、しんどそうにしていたから心配されてしまった。

 感覚として、まだ大丈夫。紙の束を見るにあと少し。


 ここにいるのは呪いを受けた生徒の一部。まだ呪いを受けている子も多くいる。

 だから、私は今日の内にここにいる子だけでも呪いから解放したい。


 シンラ先輩。ドクミ先輩の他3名ほど先輩の呪いを解除し、同学年、クラスメイトと十数人の呪いを解き、次がラストのジュオンちゃん。


「カラネ、大丈夫そ?」

「あ、ジュオンちゃん」


 ジュオンちゃん。

 情報が殆どない子で、私に関係する子でもある。


 魔法少女が呪獣退治に向かうとそこにいたのが私と融合した呪獣とジュオンちゃん。

 魔法少女が現れてすぐに呪獣は飛び去ってしまい、逃がしてしまったが、その場にいたジュオンちゃんは保護した。

 襲われている所を保護し、検査の結果、魔法少女としての力があり、呪いを受けていることが判明。

 ジュオンちゃん自身の個人情報はどこにもなく、呪獣とジュオンちゃんがいた周辺のカメラにはジュオンちゃんの姿が無く、一体どうやってその場にいたか、どこの地域の子か、一切の個人情報が出て来なかった為、ここで調べられた事はスリーサイズや血液等の本人から得られる情報のみだった。


 呪いは嗅覚が異常に優れていて、身体から呪獣に好かれる匂いを発するようになる呪い。

 日常生活では問題ないようで、結構問題がある。

 嗅覚が良いので、トイレやキッチンなどにおいがある場所はしんどくなる。

 魔法を利用してある程度防止する術を持っているけど、自身の発するにおいでもキツいので寝ている時は魔法が切れて、寝れなくなる。


 呪いの特徴として、デバフをかけて弱くして、遅い抵抗されにくくする印象がある。

 それは先輩方の呪いにわかりやすく表れていて、シンラ先輩のように下半身痛覚遮断なんてまんまだし、ドクミ先輩の盲目も視力が無いと戦闘が不利というか、戦闘不能となる。

 他の先輩も部位の使用が禁止や魔法禁止のようなこともあった。

 同級生のほとんどが戦闘経験が無く、呪いを持っているのは初めて遭遇し受けた呪いで、これはトラウマ系が多く、特定の物を見たら恐怖状態になる。そういったものが多くあった。


 それに比べてジュオンちゃんは嗅覚が優れているのと呪獣に好かれる匂いを発生することの二つ。

 嗅覚が優れているのは場合によっては優位になる。匂いを発生するはデメリットに見えていざ戦闘を行うとなると、狙われやすくなるし、呪獣によってはすぐ逃走するけど、そういった逃げるタイプでも逃げにくくなる。

 呪いにしては弱くするという意思を感じなくて違和感がある。


「カラネ、んーのは解呪しないで」

「えっ」

「少し、残して」

「ジュオン、お前は呪いを残したいのか?なぜだ」

「んー大事。呪いも大事」

「すまない。理解ができない」

「呪い便利。臭い苦しい。それ無いとかなり便利」


 ジュオンちゃんは何を言っているのかわからないと言うかのような表情をし、コテンと首を傾げた。

 シラベさんはため息をついて、言った通りやってやれとれをブラブラ振った。


 私はジュオンちゃんに再確認する。


「ジュオンちゃん、本当に解呪しなくていいの?」

「んー!」


 解呪してあげたいけど、呪い自体はそこまで酷くない。

 寧ろ、少し弱めるくらいが一番良い気がする。


「私が上手くできないかったらごめんね」

「んー大丈夫。カラネならできるから」


 謎の信頼感を得て、私はジュオンちゃんの呪いの模様に触れる。

 呪獣の力を奪うのは前提として、少し残す。

 残した後は呪獣の力が広がらないように、蓋をする。

 そのことを意識して呪獣の力を注ぐ。


「えっ」

「どうした」

「あっ、いえ、何でもないです」


 これは私と融合した呪獣の力が呪いをかけていたのかな。

 力が全く同じ感覚がある。


 というか、そもそも広がる気が無いように感じる。

 呪獣の力はどこか意思を感じるけど、今回も意思を感じた上にジュオンちゃんに悪意を持って力を使う気がある所か、協力的だった。

 ジュオンちゃんが望んているからか、呪獣の力がすんなり私に流れていくのを感じる。


「えっとジュオンちゃん。終わったよ」

「ほんと?んーうん。できてる。ありがと!カラネ」

「どういたしまして?」


 すぐに終わってしまった。

 十数人と行ったからコツはつかんでいたけど、それにしても呪獣の力が協力的過ぎたから、あっという間に終わった。


 だから、お礼言われるとちょっと違和感を感じる。


「カラネ。もっと呪いを好きになってあげて」

「えっ?どういうこと?」

「呪いは悪い子じゃないよ?」


 そういって、医務室から出ていった。


 唖然とする私の肩をシラベさんが叩いた。


「お疲れさまだ。ジュオンの事は気になるが、それはさておいて、問題はお前だ」

「えっ」

「お前を今、調べさせてもらったが、呪いを取り込んだな」

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