彼女は語り、針を進める
夢を見る。
画面に向かって話しかける私。
「今宵の宴に幕を下ろしましょう。次の刻まで貴方の物語を進めて再び私に聞かせてください。ではまたね」
そうして、画面が暗くなる。
仮面を外して、別の画面に顔を向ける。
反射する顔は窶れて今にも倒れそうなのに、表情は生き生きして、嬉々としてキーボードを叩く。
キーボードの音に反応して奏でるように画面の中に映る世界は姿を変える。
そして暗転、彼女は突然横に倒れた。
~・~・~
「で?『裏の11』は何してる?」
「別に何でもいいでしょ?『表の11』」
「私はアンタのせいで迷惑なんだけど?」
「知らないし」
「はぁあ?」
「うっさい」
円形の机に座る彼女らは対角線上に座る『裏の11』と『表の11』を無視して話を進める。
「『表の11』と言い争うのは止して、話を続けてくれないかな?『裏の11』」
「いいけど、彼女は私とのかかわりかなり薄いからね?」
「でも、彼女の存在が君を確立させた。いや、君自身が彼女を引き寄せて君自身を確立させた。君自身で完結しているとも彼女だけで完結してるともいえるけど、君と彼女の関係は君が思っているより薄くないよ」
「『裏の11』で最後のパーツが揃ったんでいいんでしょ?なら・・・」
「いや、まだだよ」
「はぁ・・・」
「すまない。少し逸れたね。とにかく少しでも情報が欲しいからね。聞かせてくれないか?君の物語を」
「いいけど・・・あんまり乗る気じゃないし覚えてないんだけどなぁ」
「だから、ウチがサポートするって」
「ありがと、じゃあえっと・・・」
「魔法披露会前の1か月の間の話の途中だよ」
「あぁ、うん、ちょっと今から思い出す」
「ほんとにもう」
「あっ、うん、思い出した。確か私が呪獣よりの状態で魔法少女を狩り続けて、魔法少女狩りの本拠地を潰すところだったよね」
「あぁそうだ」
「じゃあ、本拠地に行ってからだけど」
そうして『裏の11』の物語が紡がれる。




