解呪を行います 2
「そうか。よかった。じゃあ戻るぞ。チヨ、後は任せた」
「はいはい、そもそも私の仕事だからいいけど、もしまだ解呪行うならここでやりなさい。また倒れたら、他の子たちにも迷惑かかるでしょう」
「そうだな。カラネ、いいか?」
「えっ!?あ、はい!」
私は思わず返事をしてしまった。
呼ばれた時、みんなこっちを見てまた注目を浴びてしまった。
私はこれからみんなの前でやることになるのかな?
見てるだけだと魔法を使っているように見えるかな。
私とシラベさんで横のベッドを使わせて貰うことにした。
「私の魔法は必要か?」
少し考える。
感覚として大丈夫だけど、言い切ることができない。
「一度挑戦してみていいですか?」
「あぁ、構わない。傍についているから何かあったらすぐに加入させてもらう」
「わかりました。お願いします」
「その前に、少し待っていろ」
「え?あ、はい」
そして、私は一人でベッドに座って待っていた。
数分経った頃に戻ってきた。紙束を持って。
「先に全員分渡しておく。必要ないかもしれないが念のためな」
そうして、一人目が入ってきた。
「えっと、カラネちゃんだっけ。よろしくね」
2年のドクミ先輩。
パット見に爛れた腕の包帯に目が行くけど、呪いは目。
普通にしているけど、視力の低下と共に、紫色を見るたびにしばらくの間盲目になり、その間目は黒く塗りつぶされたような状態になる。
「よろしくお願いします」
「その、痛くはしないでね?」
「多分、大丈夫なはずです」
「ちょっと怖いね」
「大丈夫だ。シンラは痛がった様子はしていなかったからな」
「そうですか。シンラ先輩だからな気もしますけど」
ドクミ先輩に背中を見せてもらう。
シンラ先輩ほどではないけど、それでも十分、大きな模様ができていた。
私は模様に触れてイメージをする。
一度行い、その際に呪獣の力以外に魔力も取ってしまった。
だから、今度は呪獣の力のみを意識して、吸い取っていく。
呪獣の力は目の方に繋がっていて、更に胸の方にもつながっている。
先にそっちの力を吸い取って、広がっている力を最後に吸い取る。
頭の中で吸い取るイメージをしながら、私に流す際フィルターをかけて魔力を流さないように気を付けえる。
徐々に力を吸い取っていると途中で抵抗をされる気がする。
その抵抗をねじ伏せるイメージをする。
ドクミ先輩が倒れないように呪獣の力を私の呪獣の力でねじ伏せる。
私の呪獣の力を流した瞬間、抵抗は消えてむしろきれいに私にながれるようになった。
呪獣の力のみを集中して吸い取っているので時間がかかりながらも慎重に行う。
「終わりました」
「ふむ、確認する」
シラベさんが見たことのない魔法を使い、ドクミ先輩を調べていく。
緊張しながら結果を待つ。
「ふむ、大丈夫だ。お疲れ。ドクミ。カラネ」
「カラネちゃん!」
ドクミ先輩に抱き着かれた。
私は抱き着かれた勢いで倒れてしまう。
「あぁ、ごめんね。つい、うれしくて。ありがとう。ほんとにありがと」
「いえ、私は別に」
「ううん、ほんとに感謝をしてる。それにカラネちゃんなら、みんなを助けてくれるんでしょ?私はシンラ先輩みたいに強くなかったし、同じように呪いで苦しんでる子は今いる子以外に一杯いるの。傷の舐め合いじゃないけど、呪いを受けた子同士の交流とかあるから、色々私以上に苦しんでる子もいる。私だってかなり苦しいし、周りにだって迷惑をかけてしまった。人によっては呪いを受けたから避けるようになる子だっていて、絶交された子だっていた。カラネちゃんは私たちにとって救いになるの。ほんとにありがと」
泣きながら色々教えてもらった。
気になってつい何度かシラベさんの方を見ると頷かれて本当の事だと察する。
まだ、来たばかりで交流が浅いから知らないことばかりだ。
見る人ほとんどが楽しそうにしていたから、呪いで苦しむ人のように苦しんでいる人がいたなんて思わなかった。
私なんてって思うけど、誰かの役に立つのはうれしい。
と同時に思う。
私が呪獣と融合した人だってことを知ったらどう思われるのか。
今日知り合ったばかりのマンラちゃんやジュオンちゃん、ハネちゃんやリュウネちゃんに嫌われるのかな。絶交って言われてしまうのかな。
ふとそんなことを思った。




