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解呪を行います


「さて、君に手伝ってもらうのは私とは違う視点、君の呪獣の力でのアプローチを頼みたい」

「私の呪獣の力・・・」

「ああ、君のように呪獣と融合したものいない。だからこそ、呪獣の呪いを解く可能性の一つとして、君の力を貸してほしい。君にとって恐れている力なのだろうが、その力を誰かを救う力として使わせてくれ」


 呪獣の力。

 これを使うのは怖い。


 呪獣という存在に関しては私が見た目がいっぱいの呪獣しか知らないし、呪獣が呪いを使い人を襲う。人を喰らい成長する。そんな知識だけだし、食べられたくらいで他に何もされていない。

 一昨日の私と違って今の私は魔法少女として多少なりとも魔法が使えるようになっている。

 よく考えてみると私は呪獣を怯える理由というかトラウマになるほどの事は、起きていないと思う。


 それに私が魔法を使えるようになって、魔法を使い空を飛ぶことを覚えた時に、杖が下半身が呪獣と一体化したことがあった。

 あの時確かに感じた魔力以外の力。

 油断せずに魔力を流し、空を飛ぶ。流し過ぎもあったけど、それ以外に気を抜くと魔力以外の力、魔力と似て非なる力が流れている。気が緩むと混ざって流してしまいあんな風になったけど、確実に感覚はつかんだ。


 魔力以外の力。

 恐らく呪獣の力だと思うけど、この力に今は恐れはない。全くないわけじゃないけど、多分上手く操ることができる。

 魔力もだけど、使い始めて1日2日のビキナーだから、完璧じゃないけど、それでも力を多少使うことはできる。


 この力はきっと危険な力なのかもしれないけど、私はそうは思えなかった。

 この力で他の人を救えるなら、私は救いたい。


「シラベさん、恐らく呪獣の力を使うことはできますが、一度もちゃんと使ったことが無いのですが大丈夫ですか?」

「ふむ、そういえばそうだな。どれほど使えるかわからないのに頼んでしまっていたな。正直私もどのように使う力なのか知らない。ぶっつけ本番で出来そうなことを考えてみるが、君もどう使えるか考えていてくれ。まずは、私が普段から行っている方法を披露する。そのあと君に見てもらうから、できそうなことをやってほしい」

「わかりました」


 そういって、私に紙束を渡し、応接間に戻り一人目を連れて入ってくる。


「初めまして、えっとカラネさんでしたか。私はシンラって言います。今日はお願いしますね。カラネ先生」


 糸目のシンラ先輩が入ってくる。

 私はお辞儀をして返事をする。

 見ていいのか不安になるほど個人情報が書かれた紙束を先に渡され、シンラ先輩についての情報を見てしまった。


 シンラ先輩は3年A組の第3部隊隊長、針を使う魔法で呪獣と闘う。

 身長体重スリーサイズ、生年月日、血液型や出身、家族構成など様々な個人情報が初めに記載されていて次に、使える魔法について細かく記載されていたり、今まで倒した呪獣についての情報、他には取得単位など事細かな情報が記載されている。

 最後のページに呪いについても記載されている。


 呪われた箇所については足。

 呪いについては足の使用禁止といったざっくりした内容だった。

 本人が感じる事としては、足の感覚が無く力が入らない。歩くことも走ることもできない。

 足を上げて蹴りなども行えず、身体にぶら下がっている感じの事。

 呪いに罹った経緯としては、高位の呪獣との戦闘中、部隊員が戦闘不能状態になり、部隊員を救出し、戦線離脱する際に、呪いを受けてしまい、杖を使い飛行して逃走することで、窮地は脱した。

 しかし、呪獣から逃走したため、呪獣の後を追うことはできず、逃がしてしまった。

 未だ呪いの影響を受けていることから倒されていないと判断。


 シラベさんはシンラ先輩を椅子に座らせて、服をめくり背中を見る。

 私はシラベさんの背後から状況を見ていた。


 シンラ先輩の背中には複雑な模様が刻まれていた。

 シラベさんはシンラさんの背中に触れて模様をなぞるように魔法を使った。

 あまりに小さく聞き取れなかったけど、魔法を使ったことは察することができた。


「カラネ。呪いを受けると背中に模様が刻まれる。呪いが消えれば模様も消える。この模様は呪獣の文字が書かれているとされている。奴らの独自の文化があるとされているからな。それはさて置き、私はこの模様に触れて魔法で解析を行い、状態を知ることができる。普段私はこの状態を知ることでそれを伝え、ある程度の対処法を施す」


 私の方を見ずにシンラ先輩の背中の模様をなぞりながら私に説明した。

 説明を終えるとシラベさんは模様をなぞり、また魔法を使う。

 今度は詠唱をしているのか、シラベさんが何かつぶやいているのが聞こえるけど、なんといっているのかまでは分からなかった。


 シラベさんの呟きが終わると、シンラ先輩の背中の模様は肩から腰に広がっていたのに、それが徐々に小さくなり、腰の方に縮まっていく。

 そして、小さなほくろのようになると、止まってしまった。


「私が行えるのはこのように、模様を縮ませることで呪いの効果を弱めることができる。しかし、解呪できるわけでもなく、時間と共に先ほどのような広く模様が刻まれてしまう」

「先生にはいつも助けてもらってばかりなので、そう卑下しないでください」

「ふっ、私はまだまだ未熟物なのでな」

「もうっ」


 二人の関係は友人のような関係のように距離が物理的にも近かった。


「シンラ、カラネにも診てもらってくれ。実験のようではなく言葉通り実験体となってしまうが」

「えぇ、かまいませんよ。この呪いは名誉の負傷でもあり、私の未熟さの表れでもありますから、どうなっても仕方ありませんもの」

「すまんな」

「気にしないでください。カラネさん。貴方も私の事は気にしないで、手を尽くすだけやってみてくださいね。手を抜いたら許しませんから」


 そういってほほ笑んだ。

 私はこれからこの人の呪いをどうにかする。

 けど、シラベさんの後ろから見ていて、なんだかできそうな気がした。


「わかりませんが、多分できるので、えっと、よろしくお願いします」

「えぇこちらこそよろしく。それで私はどうすればいいかしら」

「えっとさっきの模様を見せてもらえますか?」

「かまいませんわ」


 そういって背中を見せてもらう。

 さっきの模様はほくろのようになっていて小さい。


 私がこれを解呪、彼女から呪いを外すにはどうすればいいかわからないけど、呪獣の力も感覚としては魔力と似た力。

 呪獣の力とイメージを大事に呪獣の力を行使すればできるはず。


 私は模様に手を当て、イメージする。

 解呪方法はわからないけど、この呪いか呪獣の力としたら、呪獣の力と魔力は似ているから杖から魔力を抜くように、シンラ先輩から、呪獣の力を抜く。そうすれば解呪されるはず。私の身体に影響があるかもしれないし、ないかもしれないけど、やるだけやってみる。

 腰の模様から呪獣の力を吸い取るイメージをし、手のひらに流れてくるようイメージする。


 想像していた通りで呪獣の力が流れ込んで私に蓄積し呪獣の力の流れる道が太くなった感じがする。

 シンラ先輩の身体から呪獣の力がなくなるまでイメージをし続けていく。


「ちょっと、カラネさん?ちょっと一度休憩を・・・」

「シンラ!カラネ一度中止だ。シンラを医務室へ連れて行くぞ」

「は、はい!」


 シンラ先輩を他の方と共に医務室まで運んでいく。

 邪魔にならないよう数名先に行って生徒に道を開けるように伝えてもらう。

 空いた道を進みながら、シンラさんを医務室まで運び、ベッドへ寝かせる。


「チヨ、シンラの様子はどうだ?」

「シラベ、貴方もこの程度の様子は調べられるでしょ?魔力切れよ。いえ、魔力が急に増えた・・・なんて説明しましょうか」

「どういうことだ?」

「その前に確認なんだけど、シンラさんって確か呪い罹っていたわよね?」

「あぁそうだ」

「そう・・・おそらくだけど、魔力の限界が呪いの影響で小さくなっていたのよ。今貴方といるということは解呪の目処が立ち、実際に解呪したことで限界が急に増えて体が驚いた感じな気がするわ。ついでに魔力が尽きているけど、これも解呪の影響かしらね」


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