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私は私で私ではない


「もういいよ。カラネ」


 私を真っ白の布が包む。

 私にささやくように声が聞こえる


「《静停世界》・・・こっちに来て理夢ちゃん」

「えっと、はい」


 全てが停止して、今動くのは真っ白い布で包まれた女性と理夢と呼ばれる少女、私と真っ白い布の女性と共にいるぬいぐるみ。


「・・・いや、こうしようかな。理夢ちゃん」

「は、はい!」

「緊張しなくてもいいよ・・・いや、まぁいいかな。今は私の魔法で空間を止めてるから周りの『侵蝕の魔神』達は気にしなくてもいいよ。それよりも理夢ちゃんにお願い事があるんだよね」

「お願い事ですか?」

「うん!」


 そういって、白い布で包まれた指で綾音さんを指さす。

 次にユイカさん、双子の魔法少女、終焉の炎を操る魔法少女、鳥を召喚する少女・・・

 この場にいる、動けない魔法少女を全て指さす。


「今指さした子をみんな君の魔法で消して欲しいんだ」

「えっ?」

「もう一度言おうか?君の魔法でみんなを消して欲しいんだ!じゃないと私が殺すよ?それも動ける状態でね。君たちが敵対していた魔女よりも無残な姿にして君の元へ返してあげるよ。それが嫌なら君の手で消去するんだ」


 いや、いやだよ・・・なんで・・・そう呟きながらも、泣きながらも彼女は一人一人丁寧に消去の魔法を発動させて消していく。

 消していくたびに、彼女は足取りが重く、引きづるように歩き始める。


「うん、全員消し終えたかな。ところで、理夢ちゃん。あなたは誰?」


 そういって、白い布を取る。

 ついでと言わんばかりに私を包んだ布もとる。


「えっと、それはどういう・・・」

「言わなくてもわかるよね?同じ顔をした人が・・・カラネはそれを抑えてほしいけど、殆ど一緒の顔が三人もそろっている。果たして本物の理夢は誰かな?」

「それはもちろん私で・・・」

「私も理夢って名前だよ。カラネは魔法少女としての名前。本名は所理夢。あなたはだれなの?」

「私もそうだよ。魔女としては『無名の魔女』。とある子達からは師匠と呼ばれる。本名は所理夢。あなたは誰だい?恩人、友人、恩師、仲間を手にかける君は一体誰だい?」


 彼女の目的はわからないけど、少なくても理夢って子の心を折ろうとしてるのは察した。

 多分必要な事だと、思うのと同時にぬいぐるみ、見間違えじゃなければ契約精霊がいる。

 けど、魔神のような感じはしないからこっちが本物なんだろうな。


「私は・・・私は・・・」

「もういいよ。後は僕に任せて」


 『無名の魔女』を止めて、契約精霊が近寄る。


「初めまして、僕はネラ。契約精霊と呼ばれるけど、魔神とは違うよ?」

「私が・・・みんな・・・本物じゃないから・・・」

「ごめんね。君の心を消えそうにならないと現れない子がいたから、無理やり引き出させてもらったよ。同時に君自身は君の魔法の代償を知らない。知らな過ぎたね」

「だ・・いしょう?」

「そう、君の消去の魔法は使えば使うほど君自身をすり減らし、ついには消えてしまう。けど、君には倒してしまった子がいたね」

「・・・?」

「呪獣を生み出す女の子。君たちと敵対していた魔女を倒した女の子。君があの子を倒した事で君の魂はすり減ると同時に彼女の魂と混ざりあい、魂が彼女と君でぐちゃぐちゃになって混ざってしまっていた」

「・・・ぇっ」

「だけど、君は君だと思い込み、歪みに気づかないまま過ごしている。だから、僕は君に今の君自身をちゃんと認識して改めて過ごしてほしいと思っている」

「どういうこと?」

「ごめんね。そのまえにちゃんと調整するね」


 そういってネラは彼女を魔法陣で包みこんだ。

 魔法陣が上下に何度も行き来して、光が弱まると共に消えていく。

 徐々に彼女の姿が変化していく。


「これで終わり。新しい自分はどう?」

「・・・わかんない」

「そっか」

「んっ、でも、落ち着いた。ありがとう」

「ううん、僕も魂の修復は難しいからね。こういう結果になって申し訳ないよ」


「もういいか?」


 私が少し明るい雰囲気になったのかなって思っていたタイミングで初めにビルの上で見た龍が現れた。


「禁則事項に触れた者へ罰を」

「ちょっと待っててくれないかな?『制定の天龍』さん」


 怒りの感情のまま見下ろす天龍に対して、冷たく言い放つネラが天龍をにらみつけていた。

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