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無名の魔女 S20


「アァ?知らねぇよ。んだよその野良魔法少女って奴は」

「では、あなたは一体どうやって魔法を使えるようになったのですか?」

「お前らと変わんねぇよ。普通にこのゲームに参加したらだよ・・・クソ、どうなってんだよ。アイツに聞いてた話とちげぇじゃねぇかよ」


 意外と素直に話してくれると思ってけど何かあるのかな?


「アイツ?」

「ああ、『魔神』だよ。このゲームの主催者のな。誰にも負けねぇ力をやる代わりにこのゲームに勝利しろって言った割にはこの力弱ぇじゃねかよ。クソ、騙された!」


 『魔神』

 また知らない存在が出てきた。

 他人に力を与える?

 でも、彼女は元々あんな感じの力なはず。確かにいつもより少し威力が強いなって思ったけど、でもその程度。


「その『魔神』ってどんな人なの?」

「アイツは人じゃねぇよ。ぬいぐるみ見てぇな、ゆるキャラっぽい見た目の奴だ・・・アァ?なんで私はまた魔法少女殺しまわってんだ?全員殺して、ゲームが終わったはずだろ?なんで私はまた戦ってんだ?どういうことだ?私が戦い始めたのはいつからだ?」

「えっ?あ、えっ?」

「どういうことだ?私は確かに全員を倒した。スマホで確認したはずだ。その後・・・その後?どういうことだ?違う、じゃあ、今度はいつまで記憶を遡れる?こいつらと戦う前・・・わかんねぇ・・・記憶がねぇ・・・いや、私は・・・どうして・・・記憶がスマホで全員倒した事からしか思い出せねぇし、その後の記憶がねぇし、気づいたらここにいるしどういうことだ?」

「えっ?あっ・・・ん?さっき言ってた『魔神』は覚えてないの?」

「『魔神』だと?なんだそれは・・・」

「えっ?どういうこと?」


 うん?

 どういうこと?

 急に赤緑の魔法少女が壊れ始めた。

 なんか記憶に混乱が生じてる?


「ねぇ、私どういうこと?」

「私もわかんない。そもそも『魔神』って存在からわかんないし」


 どうなってるの?


「いや・・・嫌だ嫌だ、まだ死にたくない。助けて、助けて、お姉ちゃん。嫌だ嫌だよ・・・」

「どうしよう。急に壊れちゃったけど・・・」

「・・・・・・」


 本当にわけわからない。

 壊れ始めたのって確か、『魔神』について教えてくれたタイミングだよね?

 なんとなく、『魔神』ってのが自称王と深いかかわりがあるのは察するけど、どういう事?

 そもそも彼女は以前に〖魔女千戦〗を行ったことがある?

 口ぶり的に勝者ってことだよね?


 噂の前回の〖魔女千戦〗の勝者って事?

 でも、私が知るところだと、勝利は世界の崩壊。

 自称王が復活して世界は壊れる。

 だから、次の〖魔女千戦〗なんて起こらないはずだけど・・・


 う~ん、わかんない。


 何だろう?

 今まで敵対してきたし、割と戦う頻度も多かったから少し知ってる人だけど、今までの彼女は勝気で人を甚振るのが好きな人だったけど、今の彼女はそんな影も無く、ただ怯えるか弱い女の子にしか見えない。


「ねぇ、私」

「なに?」

「この子、話聞いた後どうするつもりだった?」

「えっ?あ~うん、元々《消去》で消すつもりだったよ」

「じゃあ私が貰ってもいい?」

「いいけど・・・なんで?」

「ちょっと思い入れがある相手だから」

「・・・まぁいいけど」


 私は彼女に触れて魔法を発動させる。

 《捕食融合》

 ごめんね。


 多分、この子がこうなったのは『魔神』や自称王のせいだけど、でもきっと私のせいでもある。

 だから、ごめんなさい。

 私のせいであなたをこんな目に会わせてしまって


「ごめんね。私」

「いや、いいよ」

「・・・・・・」

「・・・真白さん。終わりました」

「んっ、お疲れ。もう一人行く?」

「いえ、一度戻ります」

「りょ!」


 私は二人の後についていく。

 私、もっとよく考えろ。

 早く、解決しないと彼女のような人が増える事になるんじゃないのか?

 早期決着付けないとなぁ。


~・~・~


「あ、私」

「どうかした?」

「私はこれから離れる事にするわ」

「急に何で?」

「うん、まぁちょっと思うところが多くてね」


 部屋に戻った私達は私Eに話しかける。


 私の中の後悔と反省。

 私はここに居ない方がいい。


「止めはしないけど・・・」

「一応、人から離れた場所で行動するつもりだけど、もしかしたら見られるかもしれないからね。一応伝えてから行こうかなって」

「そっか、わかった。じゃあね」

「うん、そっちは気を付けて」

「うん」


 私は門から外へ出る。

 振り返って一礼してからここを去った。


「ちょっと待ちな~」


 ふと、門を出てすぐの場所で声をかけられる。

 振り返ると彼女はいた。


「君に伝えれなかった事を伝えるよ。君の探している『魔女』について。あーしの方で調べたけど、見つからなかった。ただ、君の探している『魔女』じゃない魔女については知る事が出来た。魔女ってのはこのゲームの勝者を指す。ただし、それだけでは不完全で魔法少女千人を倒した結果得る力が魔女に匹敵するって話。それと野良魔法少女ってのは他の世界でゲームに勝利した魔法少女達。前回の〖魔女千戦〗は野良魔法少女が勝利したゲームの方を指すんだよ。あの時見つけれなかったから、今伝えたよ。またどこかで会えたら会おうね~」


 言いたい事を言い終えた彼女はあっという間に消えた。

 はぁ・・・

 重い溜息を吐く。


 そっか・・・

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