無名の魔女 S19
「んっ!よろしく」
「あっ・・・その、今日はお願いします」
私は私Eについて動く事になった。一応事前通り、私Eの《私複製》の効果で存在している設定で動くから喋ることとかはせずに、無言で私はついていく。
魔法少女を倒しに行くのに私だけじゃ無理だから別の人を連れていく事になっている。
あまり互いにあまり喋るタイプじゃないからか、無言で気まずい空気が漂いながら魔法少女を探す。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
・・・・・・
本当に喋らないなぁ・・・
正直これでチームワークがとれるのか不安でしかないけど、私は喋らない設定だから我慢する。
「・・・右に飛んで」
「っ!?はいっ!」
急に喋ったと思ったら指示が飛んでくる。
指示通りに瞬時に返事すると共に右に飛び移動すると、元いた地面が抉れる。
私はすぐに《空間把握》を使用する。
というかこの魔法は常に発動すべきかな。
私達が歩いていた上、空に人がいる事に気づく。
把握できる範囲は25mと程々に長い距離を認識できるから便利ではある。
私達の頭上、20mくらい上に杖に乗り、空を飛ぶ赤より緑が強めの赤緑の魔法少女が居た。
私達が攻撃を避けたのを認識すると今度は一発ではなく三発攻撃を放ってくる。
魔法が透明で見づらいけど、私には空間把握がある。
空間把握は魔法をもちゃんと把握してくれるみたいでどう飛んでくるか理解できる。
「《消去》」
「・・・んっ、んっ」
私Eは魔法を消去で消して、名前知らないけど、小さい子は目を見開いて回避していた。
赤緑の魔法少女は空から降りると、今度は巨大な魔法を放ってくる。
見えないけど、空間把握では巨大な円が回転しながら飛んでくるように感じる。
私は《逃避》で攻撃を避けて赤緑の魔法少女に接近する。
後ろの2人は知らないけど、さっきの見ている感じどうにでも出来そう。
それよりも目の前の相手。
さっきは遠くてわかりづらかったけど、この子は見たことある。
何度も戦ったことがあるから。
でもなんか見るたびにかなり強くなっているように感じるけど、なんでだろう?
とりあえず彼女については私が初めて死んだ時の殺してきた本人。
名前は関涼花だったっけ?
名前確認は後で出来るかな?
今はスマホで確認する時間無いし、とりあえず殺さなくても戦闘不能状態にまで追い込もう。
なんて無理だから、回避タンクみたいな役割を担おう。
彼女を挑発して、私に攻撃を集中させて、2人に攻撃は任せよう。
挑発は言葉では出来ないからジェスチャーでやろう。
私は手を出して指でクイクイとかかってこいとジェスチャーで伝える。
「ッチ、《暴風魔刃》」
うわぁ・・・
空間把握から伝わってくるヤバさと見た目のヤバさ。
彼女が手を振ると強風と共に小さい魔法の刃が強風の中をグルグル回ってミキサーみたいになっている。
いくら大きな魔法というわけではなく、小さい竜巻が一直線に私に飛んでくる感じだけど、空間把握で伝わってくる情報が見た目以上のヤバさを伝えてくるから本当に怖い。
私はどうやって対応するか考える。
一つはさっき私Eがやったように魔法を《消去》する方法。
一つはいつもやる事だけど、《逃避》で回避する方法。
一つは新しく覚えた《転移》または《部分転移》で彼女の場所と魔法の場所を繋げて彼女に魔法をぶつける。
う~ん、今回は《逃避》かな。
《消去》より《逃避》の方が疲れないし、転移で今接近してる2人に当たる可能性が無くは無いからね。
接近した際に私Eと反対側に逃避していてよかった。
後ろにいたら《逃避》した時に、背後にいる二人に当たる可能性があったからね。
私は、《逃避》で避けて煽る。
笑うそぶりをして、彼女を煽る。
彼女は沸点が低くて、煽り耐性が無いのか、顔を真っ赤にして切れるように同じ魔法を連発する。
微妙にズレて飛んでくると避けずらいから困る。
えっと、なら・・・
私は空間把握で認識した上空に転移する。
それを三回ほど繰り返して、少し高い場所まで飛ぶ。
落下する前に魔法で地上に戻ればいいよね?
てか、できるよね?
上に上がっておいて急に不安になる。
ほんと一瞬に近いから油断できない。
私は二人の後ろに戻る事にして攻撃を回避しきる。
私が彼女に攻撃されているうちに二人も近づいていて、接近戦が繰り広げられる。
というか、小さい子のその腕何?
めっちゃ鱗みたいなのがびっしり生えて、爬虫類みたいな皮膚してるけど、それも魔法なの?
私の記憶では今まで彼女と出会った事がないから新しい子かな。
私Eが攻撃を《消去》で消して、小さい子が殴っている。
完全な接戦で赤緑の魔法少女は防戦状態で逃げる事もままならないみたい。
私Eが距離を詰めて、攻撃を防ぎ、その隙に小さい子が接近して連打している。
これ、私いなくてもいいんだよね?
私は無事に地上に着地できたから、赤緑の魔法少女は彼女らに任せて、私は乱入してくる人がいないか、奇襲されないように、周囲を警戒していた。
空間把握で認識しているとはいえ、スルーしてしまう可能性だってあるからね。
あっ、今の内に彼女の名前を確認するか。
えっと?
うん・・・?距離とか名前を見て探したけど、見当たらない?
残り人数は200人程になっている。
うん?
減る速度が遅い?
あっ!まぁそっか、移動する距離が広いもんね。
それに私Eが所属している組織みたいに、集団行動してる人たちもいるだろうしね。
じゃなくて、彼女は?
えっと、無いってことは野良魔法少女って奴?
早速当たり引いたのかな?
2人を見ながら、行動不能になるまで待つ。
殺しそうになったら止めよう。
私Eは《消去》を使うものの魔法に対してしか使わない。
本人に使わない所見るに捕らえる方向で動いてるのかな?
「真白さん、心さんから貰った縄の準備をお願いします」
「んっ、りょ!」
小さい子が下がって、私Eが一人で赤緑の魔法少女の相手をし始めたので私も手伝う。
反対側に回ってアイコンタクトで合図をする。
「くっ、近寄ってくんじゃねぇよ!《魔刃》《魔刃》《風刃》」
「《消去》《消去》《消去》」
うん?
なんか、私手慣れてない?
同じ私でも流石50近く魔法少女をやってきただけあるのかな。
見えないはずなのに、的確に魔法を削除している。
うん、私もがんばろ
「ッチ!くそがくそがくそが!」
私が加勢したことで完全に動けない状態になり、そこへ小さい子が上空から襲う。
うん、小さい子にツッコミしないでいたいけど、言わせてね。なんで羽が生えてるの?しかもなんかコゴツゴツしたかっこいい系の羽だし。
両腕が鱗の腕になっていてその腕には、縄を持っていた。あれで拘束するの?一応言うと魔法少女って変身してると少し力強いから縄引きちぎれないかな?
小さい子が襲い、素早く拘束して完全に動けないようになる。
なんで亀甲縛りなのかはツッコまないよ?
シレッと足を踏みつぶしてるのは普通に怖いし、瞳孔が怖いから、ツッコみいれないわけじゃないよ?
今は喋れない設定だからね?
「んっ、終わった。どうする?」
「ここで聞いていきます。ごめんなさい。真白さんは周囲警戒をお願いします」
「りょ!」
そのまま空へ飛んでいく。
うわぁ・・・怖いなぁ
「さてと・・・えっと・・・」
「っんだよ、さっさと縄を解けよ!」
う~ん、小さい子よりは怖くないけど、まぁでも少し怖いな
てか、縄解けないんだ・・・
「それはお話した結果によります。だからちゃんと答えてください。拷問とか苦手なので私の場合は」
そういって近くの花を取って、花びら以外を消去した。
えぇ・・・もしかして私よりも精密に消去できる?
「ッチ!なんだよ・・・で?」
「はい、野良魔法少女と前回の〖魔女千戦〗について、あなたの知っていることをすべて吐いてください」




