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無名の魔女 S11


「ここは・・・ビルの下?」


 戻った。

 どこまで?


 嫌な予感がする。

 急いでビルを上るけど、上っている途中で私はまた閉じ込められた。


~・~・~


 何か見えそうで見えない。何か匂いそうで匂わない。何か聞こえそうで何も聞こえない。何か肌に触れているようで何も感じない。


 これは・・・積みなのかな?


 考えろ私。


 この《逃避》って時を巻き戻すわけじゃない。

 多分平行世界とか多次元とかそんな感じの魔法。


 巻き戻るとしたら無事な所に戻るだけだけど、別の平行世界に移動しているとしたら、私が複数いるのもおかしくない。

 そして、名前が載っていない事も納得できる。

 なぜなら今の私は別の世界の私なんだから人が違う。


 システムがどうなっているのかわからないけど、スタート時に参加者の情報を保存して死んだら削除してる感じだと思う。

 だから追加された私の情報は載らない。


 《逃避》で戻った時の時間はその時間軸で私が生きている状態で、少し進んだ状態の位置に別の世界の私が現れる。

 例えば、私が民家に向かって歩いている場合、別の世界から来た私は民家を漁っている状態だったはず。

 例えば、初めにルータを確認して戻ってくる場合、別の世界から来た私は部屋に戻ってスマホを見ている状態だった。


 死ぬ前の状態に戻ってその時の状態のまま別の平行世界へ移動する。

 そして、常に最終位置は動いている。生き残る時間が長い方へ。

 《逃避》を使って一つ前の《逃避》の時より短い時間に戻った事は無い。

 感覚的にも戻れそうにないことを感じる。


 ふぅ・・・


 でも、戻る事ができない。

 いや、まったくできないわけじゃない。


 今の考えから行くと私が《逃避》を使った場合、私自身を削除する直前の時間が移動場所になる。

 それは普通にまずい。

 戻った所で何もできずに今と同じ状態。


 ならどうすればいい?

 私・・・考えろ


 ・・・はぁ

 今から魔法を覚えれるのかな?


 わからない。

 けど、やらない事には始まらない。


 ふぅ・・・

 自力で魔法を覚えた時の感覚。

 魔法を強くイメージして名前を付ける。


 気持ちを高める。

 私は自分に《名前削除》を使う私を止めたい。

 私は生きる為には私を止める必要がある。

 どうしたら、止められる?

 私を私が殺す?自分を自分で?


 まるで共食いみたいな・・・


 えっ?

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