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無名の魔女 S4


 私は泣きながら、謝りながら女の子が入れる穴を掘っていた。


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」


 罪悪感で圧し潰されてしまいそうな身体を動かして、変身した事で強化された手でサクサク穴を掘っていく。

 私が思っているより身体強化されているのかあっという間に人が一人寝転がれるスペースの穴が完成する。

 私はそっと女の子を持ち上げて穴の中へ入れる。

 本当はちゃんと埋葬してあげた方がいいだろうけど、状況が状況なので私的にはこうやって弔う事がベストだと感じた。

 私は女の子を穴へ入れた後、近くに生えていた花を拾って女の子の傍に供える。

 自分でやっておいてこんな風に思うのは間違っているのだろうけど、ごめんなさい。私がこの子へできる行いはこんな事くらいしかないから。

 焼いてしまった顔を隠すようにコンビニに行ったときに拾ったハンカチを被せる。

 最後に土をかぶせて、もう一輪女の子の眠る土の上に植える。

 私は手を合わせて、来世なんてものがあるのなら彼女が幸せな人生を過ごせるようにお祈りをする。


 私はその場を去って、新しい場所を目指す。

 その前に武器の調達をすることにする。

 殺してしまった事以上に殺し方に罪悪感を強く感じた。殺人に美学を求めている快楽殺人者みたいで嫌だけどでも、殺し合いするにしてもせめて苦しませずに殺したい。

 私は女の子を焼き殺した。

 でも、顔が焼ける前に、喉を焼いたはず。

 呼吸させずにずっと火を当てられ続けてまともに呼吸できずに火を吸ったはず。

 直接的な死因は酸欠とか肺が焼けたとか、詳しいことはわかんないけど、でもそんな感じだと思う。


 そんな殺し方何度もしたくない。

 だから私は頑張って一撃で殺す方法、比較的苦しまずに殺す方法を考える。


 歩きながら考えた結果、シンプルに包丁とかかなって思った。

 どうにか首を斬ること。

 よく暗殺とかでも首を切って一瞬で殺すのをアニメとかで見たことあるし、昔の切腹もその人がお腹を斬るのは苦しむ為で、もう一人が切腹した人の首を斬ってあげて苦しむ時間を減らすみたいなことを見たことある気がする。

 合ってるか分かんないけど、私の考える限りじゃそれが精いっぱいだった。


 今から物資を調達するには民家によるのが一番かな。

 さっき行ったコンビニは遠いし、この辺りは畑とか田んぼとかがあって人が住んでいるような場所から少し離れている。

 一番近い民家まで戻るより進んだ方が近いから先を警戒しながら進む。


 この間に襲われたら、また火炎放射しなきゃいけないと恐れていたけど、そう恐れる必要は無く、何とか無事最寄りの民家によることができた。


 それにしてもあれからスマホを確認すると時間は止まっているけど、進んでいる。

 この殺し合いのゲームにおいては本来の時間とは違い、ずっと夜のままで進む。

 だから時間がゲーム開始から何分経ったかに時計の表記が変わっていた。


 民家に入ってすぐに目的のキッチンを目指してから家を探索する。

 この家の包丁は恐らく一般家庭より本数が多く、見た感じ長くて丈夫そうな包丁を2本選んで布で巻いて一本は服の中にしまう。

 後は盾になるかわからないけど、念の為に鉄製の鍋の蓋を持っていく。


 家の中を探索してヘルメットを見つけたので身に着けて頭を守る。

 後は・・・防具になりそうなものが思い浮かばなかったから、ひとまずこの状態で行動するとして、時間が進んでもお腹が空かないから食料とかは一旦大丈夫だと考える。

 荷物を多くしても仕方ないしね。


 一通り装備を整えて、今度は積極的に魔法少女を倒そうと思う。

 女の子を殺して思った。

 少しでも早く私が楽になりたい。

 少しでも早く女の子を殺してしまった事に意味を持たせたい、正当化したいと。

 人を殺してしまったという罪悪感を感じていながらもまだちゃんと実感が得られていない自分がいる。

 自分を騙せる内に他の魔法少女を殺して、ゲームを終わらせたい。


 私は少し遠回りして家の方向へ戻ろうと行動する。

 栄えているビルとかある場所から少し離れた場所に家があって、今は更に離れた場所へ来ていた。

 というのも栄えている方へ行ったら魔法少女が密集していると思ったから。

 栄えている場所なら私みたいに考える人がいい物資調達をするはず。

 だから物の取り合いで争い続けているはず。

 逆に栄えている場所から離れれば離れるほど物資が乏しくなるから人が少なくなるはず。

 そう思って行動していたけど、今度は逆に栄えている方を目指して魔法少女を殺す。


 今からは優しさなしで気持ちを切り替えて殺すと考えないと私の心が持たないよ。

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