無名の魔女 S3
スマホを見ながら、他の人達との距離を見る。
なるべく離れていようと思うけど、900人以上の人がいるから全員の距離を一つ一つ確認していても随時更新されるからまともに見ていられない。
それよりも私はどうにか生き残る方法を探さないといけない。
ゲームクリアするなら他の子達を倒す必要がある。
けど、私にはそんな事をできる自信がない。
それにあの赤緑の女の子に勝てる自信がない。
あの赤緑の女の子を基準にして考えてしまうけど、私には攻撃も防御も何もない。
まともに使える変身は誰でも使えるから誤差の範囲。
変身したら多少は身体が丈夫になるけど、あの攻撃は防げない気がする。
あんな一瞬で体が二つに切れてしまう魔法を変身してちょっと体が丈夫になっただけで平気なわけが無いよ。
「・・・えいっ!」
目の前に現れた女の子は私に向けて杖を振る。
私はびっくりして避ける事ができずに杖が頭に当たる。
変身している目の前の子の攻撃で私は頭が割れるような痛みが襲う。
「あう・・・ごめん・・・なさい・・・」
ふらついた私に襲いかかるように振り落とされる。
ゴキッと鈍い音が聞こえる。
あっ駄目だ。
私は音が聞こえた瞬間諦めた。
私は諦めた結果、魔法を使う。
~・~・~
あれ?
私は道路の真ん中に立っていた。
この私の魔法の効果が本当によくわからない。
とりあえず、無事なんだよね?
私は確認の為に頭に触れる。
うん、血は出ていない。
私はほっと一息吐いて、どうするかを考える。
初めの赤緑の女の子は攻撃的な印象だったけど、次にあった気弱な子は攻撃的な印象は無かった。けど、そんな子でもこのゲームでは攻撃をしてくる。
もしかして、味方になる人もいるのかななんて甘い気持ちは持たない方がいいよね。
そもそも、短期間で50人以上いなくなってる時点で攻撃的でもなんなら殺人鬼のようにうろつきまわる人がいるんだよね?
気弱なあんな子でも変身して杖で撲殺する。
魔法無くても不意を突けば死ぬんだよね。
変身していても撲殺で死んだ。
やっぱり防御力が上がっているって言っても誤差程度なんだなぁ。
私もどこか身を潜めて不意打ちで倒していく方がいいのかな?
甘い考えはなるべく捨てていかないと私は死に続ける。
どういう仕組みかわからないけど、時間が戻ってるよね?
でも、戻っている時間は徐々に進んでいる。
そのうち死に戻りしても意味がない状態になるかもしれない。
私が死にたくないと思っている以上、他の人を殺したくないなんて甘い考えを捨てたほうがいい。
それにそうだよ!願い事を何でも叶える権利でこのゲームで死んだ子をみんな生き返らせて貰えばいいんじゃん。
その為にも私は殺し続けないといけない。
変身して手に入れたこの真っ白い杖で撲殺をするには不意打ちでしか使えないと思う。
それならと私はコンビニに向かって装備を整える。
幸いなことに道中では誰にも遭遇せずにいたから、コンビニで求めるアイテムを拾う。
罪悪感はあるけど、これは命がかかっているからと私は自分の心を正当化して誤魔化す。
私が拾ったのはライターとスプレー。
私みたいな非力な人でも使えるし、簡単にできるアイテム。
私はスプレー缶をいくつか拾い、ライターとスプレー缶を握って、警戒しながらさっき襲われた場所へ向かう。
さっきは不意打ちでやられたけど、今度はこちらから仕掛ける。
「・・・え、えいっ!」
「ッ!?」
私は隠れているであろう方向へライターの火をつけてスプレーを噴射する。
わからないから何となくで炙り出していく。
「や・・・やめて・・・ご・ごめんなさい・・・」
何か言ってるけど私は無心で見つけた女の子に火炎放射をする。
しばらくして、女の子は倒れたので、念入りに缶が使いきれるまで女の子の顔に向けて火炎放射をする。
しばらくして、中身が切れて何もでなくなって、ライターの火で私がずっと火炎放射をしていた女の子の顔が見える。
「ヒッ!!」
女の子が死んだことで変身が解除されていたのか、寝間着姿で皮膚が焼け爛れ、焦げて、骨が見え隠れしている。
じわじわと鼻にくる嫌な焼けた肉の臭いが私を襲い、その場で吐き出す。
私がやった。
私がやってしまった。
一人の女の子の命を止めてしまった。
惨い姿で殺してしまった。
私はその場で出ない液を吐き続けながら、泣き崩れた。
「ごめん・・・なさい・・・ごめんなさい・・・ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」




