魔呪少女 S9
歪む世界。
この物置小屋の空間を完全に侵食し、変色し、私の世界が生まれる。
私の世界だから私好みの世界だけど、他の人が見たら気が狂うのかもしれない。
薄暗いはずの空間では無く、写真を加工するように、黒白世界になったり、赤色が鮮明になったり、牡丹色と青緑と黄色のみの世界になったり、置いてあった物が一人でに動き始めたり、私の認識する範囲が私の世界に侵される。
私の力が私の力と対抗して互いを侵食し合い、その余波で子供が生まれる。
研ぎ澄ました力と元々の私が保有する力により、私自身の身体が耐えられずに砕けるのに、私の力の影響で私自身を子供として再生する。
再生の度に力は元々の力が研ぎ澄まされた力と同じ力を持ち、そのまま研ぎ澄ましてまた私は砕けて再生する。
砕けた体は呪いと化して私の力として認識される。
何度も何度も繰り返す。
あの魔女を倒せるくらいまで強くなる子供が生まれるまでひたすらに研ぎ澄ます。
その為の代償ならいくらでも捧げてやる。
いくつか新しい力を得たことを感じながら私と共に育っていく子を見ながら、まだまだだと感じる。
もっともっと、力に貪欲になって・・・
~・~・~
元々食事をいう行為をしていなかったから、ここで子供を生みだしてどれほど経ったのか日を見ていないからわからない。
とっくに痛みには慣れたし、砕けて再生するまでの時間も僅かに縮まってて意識が途絶える時は殆どなくなった。
子供のサイズが大きくなりすぎる度に子供自体の力を圧縮して小柄になってもらう。
魔女と同等では無い。
圧倒的に魔女に勝てるまではやる。
力自体は魔女並みになったと思うけど、テクニックとかが足りない。
テクニックが無い分、圧倒的な力で倒すしかない。
~・~・~
外が騒がしく、何度か扉を叩かれた気がするけど、気にせずに力を極める。
少なくても、この場所が襲撃されたとかじゃない。
館の方は騒がしいけど、悲しいって感情が急激に溢れている事は無いから、大丈夫なはず。
それよりも、子供の力が高まった事で、歪む世界すら飲み込む程の力を持つようなった。
私と同じくらいの大きさなのに内に秘める力は私の知る限り最も膨大でそれでありながら溢れる事無く完全に制御している。
始めの私が行使した力は極まった力によって浸食されて、今は極まった力すら制御して、子供の中に力が流れている。
ぱっと見元通りの物置小屋。
子供が力の制御で私が砕けた時の血飛沫を侵食して制御下に入れているから本当に元通り。
私の住処にするわけじゃないから、これでいいよね?
子供にはここで隠れてもらって、この館のボスに会いに行く。
力が極まったおかげで魔法少女の位置と力の大きさを知る事ができるようになった。
一直線にボスの元へ行く。
準備は終わった。
だから私は、魔女に挑みに行く。
その前にお世話になったから挨拶をしておこうと思った。
組織は面倒。
面倒だけど、ここのボスには助けてもらったし、恩がある。
恩返しの意味も含めて魔女を徹底的に潰す。
魔女に私の子供達も全て殺されたし、ちゃんとお礼はしないとね。
ボスの部屋の前まで来ると言い争いのような声が聞こえる。
お取込み中?
と言っても、やる事が決まった状態で暇を持て余したくないんだけどな。
仕方ないけど、お邪魔しよう。




