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ホワイトサワー系の飲み物が一番好きです


 懐かしい街並みなのに知らない街並み。


 散歩道を蒼い月を見ながら進む。

 不思議だね。

 魔法少女同士でも戦ってるんだよね。

 呪獣とも戦うけど、魔法少女同士も戦う。

 不思議な世界。


 とても私の住んでいた世界のように思えない。

 思えないけど、ここは私が住んでいた街なんだって嫌でも感じる程に私はこの道を歩き続けていた。


 それなりに高い建物もあるけど、都会というほど開発も進んでいないし、田畑が多くある。

 私の家からそう遠くない道で住宅街から少し離れた場所は一面田畑で空が広く見える。

 朝と夜の切り替わる早朝と夕方の空が大好きだった。

 それを見る為だけに歩く事がある程に


 今は真っ暗な夜中みたいで街灯の明かりが遠くで光っている。


 田畑の場所まで魔法少女にも呪獣にも遭遇する事は無いし、付近に居てもわざわざ遠回りして魔法少女を食べてる気分ではなかった。

 食べたい気持ちよりも今はしばらく歩いてこのまま歩いていたかった。


 あっ、でも、ほんの少し遠回りしよう。

 今は感傷に浸っていたい。

 気分的にお気に入りの缶ジュースを飲みながら空を見たかった。

 田畑までに一本ズレて移動しないと自販機が無いから、そのついでに魔法少女も食べて田畑に移動しよ。


~・~・~


 はぁ・・・

 人と関わりたいくない時があるけど、その時って大体迷惑かけられる時だったり、その人が嫌いだったり、自分自身の気持ちだったり様々な事が理由だけど、今の私は人とは一方的に関わっていたかった。

 話はしないし、ただ一方的に食べて終わりにしたかった。


 けど、目の前の相手は違った。

 おしゃべりで、実力のある魔法少女。

 その実力も努力もあるけど才能があるタイプで戦いにおいての天才肌の相手。


 ジュースを買って、目的地までのルートにいる魔法少女を食べていこうと思った時に現れた魔法少女。

 私は現れてすぐに食べようとしたけど、あっさり躱されてしまった。


「うわ~!なに今の!凄いね!どんな魔法なの?もっと見せてよ!」


 私は少なくても彼女を知っているつもり。

 つもりだけど、私の記憶の彼女とは様子が違う。


 私の捕食の手を躱されて、すぐに彼女の動きを止める為に呪いを使い、足の感覚を無くす。


「うわ~!凄いよ!なんか浮いてる感じがする!地に足がつかない感じだ~!面白いね!」


 私は完全に足の感覚を失わせたはずなのに平然と動く彼女に恐れを感じると同時に彼女を放置してはいけないと、ここで必ず殺すと、どこかスイッチが切り替わった。


「えっ!とっと、待ってよ!お話をさせて・・・あ、うぅ~!もう!私だって怒るよ!《憤怒の幻獣》」


 初めて見る彼女の魔法

 彼女の額に白黒の角が生え、顔が赤く染まり、青い瞳を輝かせ、白い衣服を纏い、七色の尻尾を生やした彼女は、一瞬にして私の懐へ迫り、私の顔を鋭い角で刺し壊した。


「ふう、もう!普通の魔法少女かと思ったら呪われた獣だったなんてびっくりだよ!呪われた獣でも元の魔法少女の姿で溶け込んでくるとか怖いな!」

「どういうこと?マンラちゃん」

「およ?」


 私は刺されてたままだけど、今は人であろうと思ってないから呪獣としていてもいいけど、それでも聞き逃せない事が聞こえた。


「魔法少女が呪獣?」

「びっくりだ!もしかして、呪獣の力を使える魔法少女だった?でも、そんな子聞いてないけどなぁ!いや、でも、なんで死なないのかな?もしかして・・・」

「ねぇ教えてよマンラちゃん。魔法少女って呪獣なの?」

「わっわっ!ちょっと、待って落ち着いて?私も落ち着くからゆっくり話し合いしよっか!」


~・~・~


 マンラちゃんは魔法少女のデフォルト姿に戻り、角が消えて私は降ろされる。

 話し合いをする為に道の真ん中でなくて近くの公園へ移動して話し合いする事になった。


「う~ん、まずは自己紹介だね!私は新道海璃(しんどうかいり)。貴女は?」

「えっと・・・」


 あれ?

 本名?

 私達は、魔法少女は名前を公開したら駄目なはず。

 何故なら名前は存在そのもので本名を知られたら名前を利用した魔法によって死に至る可能性がある。

 だから契約時に魔法少女として戦う為の名前が付けれる。

 けど、目の前のマンラちゃん・・・違うのかな、海璃さんは本名を名乗った。本当に本名かは知らないけど、十中八九本名でしょ。


 私も彼女に合わせて名乗るべきなのかな?それとも魔法少女としての名前?

 う~ん・・・とりあえずは


「私はカラネ・・・です」

「そっか~!カラネちゃん。うん!いい名前じゃん!自分でつけたの?」

「いや・・・違います・・・」

「そっか!あっ、じゃなくて、なんだっけ、私からも色々聞きたいけど、先にカラネちゃんの聞きたいこと教えてあげるよ!」


 ようやく本題に入れた。


「えっと・・・魔法少女が呪獣って?」

「あ~!うん、そっか・・・カラネちゃんって目の前で魔法少女が死ぬのを見たことある?」

「いや・・・えっと・・・」


 殺したことはあるけど、死んだ姿を見たことがあるかと言えばノーな気がする。

 殺す事はあっても、捕食だから死体は見てないんだよね。


「あ、殺しても死ぬの待ったこと無いのかな?それなら知らなくても仕方ない・・・のかな?魔法少女は死ぬと呪獣になるんだよ?」

「えっと・・・それって本当ですか?」

「うん!っと言っても証明する事は出来ないけどね!どこか行って魔法少女を殺さないと分かんないし・・・そうだ!カラネちゃん、私が殺すからその後ちゃんと見ててよ!」

「えっ?あ・・・はい・・・」


 マンラちゃんはそんな子じゃなかった。

 確かに元気で変わった子だったけど、人を簡単に殺すなんて言わない。

 海璃さんとマンラちゃんは別人だったかな。


 私はどこか腑に落ちず、彼女の後についていくことになった。


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