感情のまま、思うがままへ
結局学校をサボって部屋に戻ってきた。
私は若干視線を感じて居心地を悪く感じながらも、部屋に駆けこんだ。
悪いのは私だってわかってるけど、気持ちが荒れる。
はぁ・・・
端末を起動して汎用魔法を練習する。
魔力を回していく・・・
「痛ッ!」
感情のコントロールが出来てないよね。
頭の中がぐちゃぐちゃして、魔力で皮膚や血管を傷つけてしまった。
けど、これも別に大した怪我じゃないんだもんね。
もう一度魔力を回して、寧ろもっと傷つけてしまいたくなってより傷を増やしていく。
痛いけど、そもそもこの痛みは本物なのかな。
私は人間じゃないんだよね。
魔法少女としても呪獣としても中途半端でどちらの存在だったとしても戦いに向かない私はなんで存在してるんだろう。
って違う。
そんなことじゃなくて今は魔法。
使う事の無い魔法を覚えていく。
小さな火を灯す魔法。
水を生成する魔法。
身体の汚れを落とす魔法。
目の色を変える魔法。
服を一瞬で消える魔法。
使いそうで特に使わない魔法を次々習得していく。
その度に、不快な感情が湧き上がる。
湧き上がる感情を制御できずに抑える事が出来ずに、吐き出してしまいたい。
何か物質があるわけじゃないけど、私の中でのストッパーが一つ一つ壊れていく感じがする。
初めは頭。
そこから首、身体、腕、手、足と肌が黒色に侵食されていくかのように染まっていく。
溢れ出る感情のままに暴れたい。
そう思った瞬間、最後のストッパーが破壊された。
扉を壊し、驚く魔法少女を横目に羽ばたいていく。
通路を進み邪魔する魔法少女には容赦なく攻撃する。
扉の前で立ち止まり、どうするか考える。
「今よ!集中攻撃!」
攻撃するならいっそちゃんと殺す威力が欲しい。
私はそのまま無視して、扉を殴って寮を出る。
黒く染まってそのまま溢れる感情のまま呪獣の姿になってるから、扉を通れるほどのサイズじゃないんだよね。
イラつく感情のまま扉を粉々にして、通路を進む。
今度は地上を目指して。
道はわからないけど、手当たり次第に進む。
そうじゃなくても誰もいない場所か、強い魔法少女に攻撃されればいいや。
通路を進む度に邪魔する魔法少女が増えていく。
攻撃が痛くも無いのでスルーして邪魔に感じたら適当に攻撃して進む。
見覚えの無い施設ならスルーして次の場所へ進む。
そんな工程を繰りかえして、少しだけ冷静になって思う。
場所によって魔法少女の数が違う。
いや、既に襲われてるからそれなりの数がいるんだけど、全て攻撃が痛く感じない。
だから気にしていないようなものだったけど、少し考えたらわかる事だった。
今は上級生の人達も呼び警戒もしてるし、呪獣の殲滅もしてるから、つまりは重要なところほど魔法少女が集中してるわけで、魔法少女の多い場所を進んでいけば、目的に沿った場所へたどり着けるはずと。
それにしても、こんなにも多くの魔法少女が居るんだね。
私の身体は魔法少女達を気にせずに進むために大きくなったり小さくなったりしてるけど、何となく見てる感じ見覚え無い人ばかりで、行くところ行くところ初めましてな魔法少女ばかり。
~・~・~
魔法少女の多い方へ進み、攻撃や妨害をされるけど、気にせずに進んでいると突然、周囲から魔法少女が一斉に消えた。
私は困惑しながらも進む方向は一本道だったから、とりあえず進む。
偶にむしゃくしゃして壁を殴ったりもしながらだけど。
一本道ってのもあるけど、何となく私自身がこっちに進みたかった。
惹かれるっていうのはおかしいけど、何となくこっちへ行きたかった。
飛んで進んで、一体どこまで続くのか、はたまた精神魔法でも受けて彷徨っているだけなのか、不安になりながらも、一本の道を進むこと数十分
出口は大きな空間だった。
いや、こんな場所は知らないけど、どこかのビルの屋上にいるみたいだった。
フェンスで囲われて、フェンスから街を一望できる、そんな場所に出た。
「あぁ~」
うん、何となくここでいいや。
一度発声して声を整える。
あっ、その前に姿を戻そ
私が姿を戻そうと物質化した呪力を解除し始めた途端、私の上に気配を感じた。
瞬時にその方角を見ると一匹の龍がこちらを見ていた。
その視線は何も感じない、ただ視界に入ってみてるだけ。
興味本位とか好奇心とかそういった感情のような気もするけど、敵意や警戒を感じない。
その龍はしばらく私を見つめてから急に姿が空気に溶けるように消えた。
一体何だったのか分からないけど、私はとりあえず、元の人の姿に戻り、街を見下ろす。
見下ろした街は荒廃しきった街で激しい戦闘音と共に私の何かが揺さぶられる。
感情というか本能というか魂というか
私は揺さぶられるまま衝動で一気に呪力を広げる。
私の身体なのに誰かに操られているような感覚になりながらも今はそれに従う。従わざるを得ないともいうけど。
どこまで広がるか分からない呪力はある程度広がると急に停止し、一気に吸い寄せる。
何かを絡め取っているようで吸い寄せた呪力は目の前で大きな黒く禍々しい雰囲気を発しながら、球体になっていく。
全ての呪力が吸い寄せ終わり、球体も満足すると、その球体を私に取り込んだ




