第4章
「私、駅を降りた時から人々に睨まれているわ」
「隣接というものの、サン=エティエンヌとブルティノーってずいぶん雰囲気が違いますね」
「魔王様―」
ある建物4階におじいさんが少女の姿を見たら、大きく反応していますが、その部屋の窓がすぐにも駆け付けた家政婦に閉められました。
町の家並みが終わろうとするところに、少女が広がっている田畑を眺めて、ぽつんと一軒立っている木造小屋に留まりました。
「本当にここなの?」
「街はずれまできましたね」
「けどこの建物、事務所に使われたとしか見えないわ、ここに看板の跡も」
「邪魔してみましょう?もしもし?」
ヤーノスさんが小屋のとびらを少し開けます。
「電話じゃないわ!」
「届かない…」
部屋の真ん中に、小さい女の子が天井の電球を取ろうと、飛び続いています。
「統括道路公園管理局 ロッテ・マルクーセン…」
少女が女の子の胸についている名札を無意識に読み上げてしまいました。
「お知り合いですか?」
「ああ…違うわ」
「ひぃぃ!どちら様?ああ、私もついに強盗事件に巻き込まれたのか、姫様に申し訳ないが、ロッテがここで殉じてしまうんだ…」
「ひとまず落ち着いてもらえるかしら?」
「つまりド・ルプレイヌ=ド=メのお嬢さんに密着取材しています」
「ヤーノスさんは悪くない人ですし、万が一の時にも男の人が居たら安心感がありますから、私たちが一緒に行動していますわ」
「お二人を不審者と誤認したことはすみませんでした!あ、申し遅れましたが私がロッテ・マルクーセンといいます。ご覧の通り、この表札のままに、道路公園管理局に勤めています」




