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第1½章 (5月11日)
5月11日、が早く来るように、少女が幾度も寝返りをうち、5月10日の夜をつぶやきます。
「ノック・ノック」
「こんな時間に誰がくるのかしら」
少女がベッドから起き、階段を降りて、扉を開けると、目の前に、顔や四肢の至る所に赤い腫れが現れるシアナさんでした。
「翼っちが虫よけ効果あるから、一緒に寝させてー」
「こんな時間に起こされて、薬品扱いまでされてたまるかよ」
「ごめんってば、お詫びに昔ばなしでもしよう」
「…」
「…そして、勇者が魔王討伐をするために、山盛りのシュウマイを大食った」
「…シアナさん、どうしてこうやって寝るの?シアナさんの足が私の顔についてくるけど…」
「朝になったら分かってくるぞ」
朝になりました。
「おはよう、足のパイ)」
シアナさんが足を動かして、パイの形にしています。
「殴るわ」




