第6章
少女らがテーブルを囲んで雑談しています。
「最近この町に起きる不思議があるわ…」
「その後、男の人が乗務員に追い出されました…」
「そしてメイっちが暴れてくるのよ…」
「みんなが素晴らしいです!」
「ブルーグさんこそすごいのではないですか?一人で汽車でこの町に来るのも、ここまでたどり着くことも、色々な意味ですごいですよ」
「あはははっ」
「うちがもっと盛り上げよう」
シアナさんが箸でテーブルを叩きながら、歌い始めました。海峡の国の人気曲のようです。
「あ、その曲、私も知っています!」ブルーグさんもハーモニーの部に入ろうと、シアナさんと一緒に歌います。
「『東部大陸語で』きつっ」
「『東部大陸語で』シンカンちゃん、マリーさんの悪口を言わないてね」
「『東部大陸語で』マリーって名前はどうしても大柄な体格で実家が個人商店のやつに紐づけないよ」
「ブルーグさんはお歌い上手ですわ」
「頭が重いわ…」
少女が帰り道でひとりごとをしながら歩いています。馴染んでいる景色を見ても心模様が激しく揺れません。
「私の小さい世界と同い年のジュール・ラヴォー街道に戻った」
少女がしばらくジュール・ラヴォー街道に沿って歩いたら、目の前に数匹のカエルがほどんと手入れのない草むらから飛び出して、道路を通って消えました。そのとき、少女が、草むらの中にある、カエルの体液の着いた、月光に照らされ、ピカピカな銅製の銘板に目を惹かれます。
「あらら」
少女がしゃがんで銘板を覗いて見ました。
「サン=エティエンヌ=ブルティノー地域圏 統括道路公園管理局…これは17年以上前に設置された銘板かな…私が生まれる前なら…魔王城の敷地も大部寄付された感じ?そうするとそんなぼったくりの税額も払わんで済むかしら…時間があればあそこに電話しよう」
少女が魔王城に帰りました。




