第8½章
「惜しかったな。他の所も回してきたのに、魔王城が見学出来ないって」
「魔王城なんかも逃げることはしないし」
「区の名前の由来なのに、ジャンヌ=ユージェニーさんもほとんど出て、町の代表として、活動していないじゃない?」
少女の頭の中でいくつかの記憶の欠片がフラッシュバックしました。
「連邦観光促進機構…」
少女がぶつぶつ何かを言います。
「スポンサーとかを誘致したら、いつかコラボ企画もできるのかしら…」
「これは最高の時代であり、最悪の時代でもある;知恵の時代であり、愚かな時代である;信ずる時代であり、疑いの時代でもある;光の季節であり、闇の季節である;希望の春であり、絶望の冬である…」
「お兄さん、許可証は?許可証がないとここで露店を出すことができないよ」
「ごめんなさい、憲兵さん、許可証はまだ申請中なので、なんかご容赦を」
「私もこの本が気に入っているな、でも、本屋に行く時間がなくてねー」
「差し上げます!ぜひ見逃しをしてください!」
「露店?何の露店?あれ?私の手に1冊の本がある…絶対神からのプレゼントじゃない?今日はラッキーだねー」
「…いつか自分の店を立ち上げたい…」
「…」
少女が無言のまま、憲兵さんと男の人の傍に歩いて去りました。
少女が数十メートル歩いたら、女の子に呼び止められました。
「ジェニーちゃんじゃない?」
「キャロルさん?」




