第5章 (5月8日)
「5月8日が週間テストの日だわ」
雨が降っています。少女がまた、ぽたっと額に落ちてきた雨粒に起こされました。
「別の部屋に住もう」
少女がベッドから降りて、ゆっくりと布団を部屋の外に引っぱります。
「あかん!ポスト魔導回線が移動できないわ。ライトに水の避ける布とかを敷いておかないと、ポスト魔導回線が水に壊されるわ」
「っということで、朝、出かけるのが遅れていて…」
「ユージェ姫って、よくあの雨漏れがひどい魔王城に住んでいるのね」
「もう長い間に慣れてきたわ、使わない部屋まだ別にあるの…」
「メイっち、翼っち、雨の日にバスのストライキが終わっていることはラッキーだね。ところが、翼っち、どうして座らないのだろう…」
「あははっ、シアナさんも私と短い付き合いじゃないじゃない?もちろん体の都合だわ」
「お嬢さん、翼をどいて頂戴?」
「あ、ごめんなさい…やっぱり座ればよかった…」
シンメイさんとシアナさんが座っていて、少女がバスの中で立っています。
お腹に正方形のハコのような突起をもっている男の人がバスに乗りました。
「ふー」
「…」
「…(お腹を撫でる)」
「…座りたいですか?」
「ありがとう」
「あの男は妊娠はしていないと思う」
「どうして断言できるのか、メイっち?てっきり何かを盗んでいることに見えないけど…」
「正解に近づいているじゃない?何かを盗んでいるじゃない?」
「どうかな...正方形の赤ちゃんを産みそうじゃない?」
「シアナって、人がどうやって生まれたのを知っているのかしら」
「赤ちゃんの雨で降ってきたのじゃない?」
「あはははっ…」
「えんこするじゃねぇ、このへたくそな行動機械め。なんで、私が最も必要としていたときに、私を見捨てたのか…オ・モン・デュー!蓋が開いちゃった…」
バスの通りかかった道に人が雨を浴びながら、行動機械をチェックしています。
「雨って大変そうだわ」
「大変だよね」
「涼しい雨を浴びられてよかったね」
「シアナさんの思考回路っていつも他人と違うわ…」




