第9章
ランク・ル・ブーレイ高校の下校時間で、正門の前に、私服を着る少女が立っています。
狼のミミのする男の子が出て、少女が向かって翼で飛んで近づきます。
「ダノンさんー、これから私に付いて来られるかしら?」
「『極東語で』五月ちゃん?いやっ、『連邦語で』ジェニーさん?」
「ああ、話が長くなるけど、とりあえず一緒に警察署行って、弟を引き取りにくるわ」
「そこの翼の女?しつこいなあ。こいつ、俺たちが予約したんだぞ」
「そうだそうだ、貴族かなにか知らないが、俺たちの邪魔をしたら許さないぞ」
ダノンさんの後ろに付いてくる2人の男の子が現れました。
「ダノンさん、時間がないわ。早く行かないと、当番の憲兵さんが上がったら、ダノンさんの弟が警察署に一晩過ごすことになるわ」
少女が2人の男の子に近づいて言います。
「これからダノンさんと警察署に行くデートだけど、何か用があればあんたたちも一緒にいこうよ。私、結構憲兵の知り合いがいるわ、シティホールにおいでも副市長まで知り合って、法律に詳しい、いえ、弁護士くらいの知り合いもいるわ。憲兵か、行政か、法律か、掛かってきたら相手にしてあげるわ、もちろん倍返しだわ、いえ、十倍返しだわ」
「こぇー、すごく怖いよ…って俺たちをこう思わせているのか」
「ねぇ、知っている?私、ド・ルプレイヌ=ド=メ魔王城のお主だわ」
少女が翼を展開しました。
「ダノンさん、高い所に飛んでしまうのよ、私をしっかりつかまえて」
少女がダノンさんをお姫様抱っこしながら、空に飛んで消え去りました。
「きれいなつばさ…やっぱ今回の件はやめようか」
2人の男の子が言います。
「相棒よ、翼ってすごくいいんだね」
「もう、ダノンさんまで…ダノンさんも訴えを食いたいのか」
「僕は降参する」
「ところで、ダノンさんって高い所を怖がらない?ああ、やっぱり人生の間違いを何回やっちゃったになっても、飽きないわ」
「はい?」
「前略。教えなーい」
「(小さい声で)『極東語で』五月ちゃんって、かっこいい…」




