幕間1
ここは極東の国です。「ここは長野崎県長野崎市稲幸山!世界一夜景を目指す!」という鉄の看板の近くに女の子2人が、極東スタイルの小さい行動機械の中に座って、山の下を眺めています。
「稲幸山ってきれいだったな」
「切子、機械の頭上のガスライトの明かりで、もう一回、地図をよく見てちょうだい?チャンスは一回のみだ。後からのやり直しなんかないわ」
「ね、由理依、それ、本当に効くのか?」
「試したことないだけど、切子も、極東に未練が残るのなら、行動機械から出て構わないよ、私、一人で行くよ。速度が出た状態に壁に塗られている魔法陣に当てることは、危ないのを特に知っているから」
「不安すぎてたまらないけど、由理依とその魔法陣を信じるよ」
「早く行かないと、誰かに消されたかも」
行動機械はどんどん加速していて、山から下ります。
「1号カーブ、もっと早く加速してほしいわ」
「わかっているってば」
「5号カーブ、もっと内側によって」
「オッケー」
「16号カーブ通過だったわ」
「よし、順調だ、もっと加速するぞ」
行動機械が速いまま市街地に突入しました。
「よし、ここからは一直線だ、アクセル全開だぜ」
「あ、子猫が道を通そうとしているわ」
「由理依、目を閉じて、いまその子猫を譲ったら、僕たちのほうが亡くなるぞ」
「ん…」
直線の道路の末端で、石の壁にきちんとした形状に文字がたくさん書かれています。
「魔法陣、頼むよ」
行動機械が街中で消えてしまいました。女の子2人が騒めいた町は静かに戻りました。




