第3章
「ちょっと相談に乗ってくれる?」
「ウヴァ!びっくりさせないでよ」
昼休み時間に、少女は校舎の一隅でレベスクさんに壁ドンされました。
「ごめん。でもこういう話はサリンジャーたちに話しづらいんだ。」
「そして私にカウンセリングしてほしいわけ?」
「魔王力場を持っているユージェちゃんなら…」
「なんだそりゃ…それより私を抱きそうな姿をやめられるのかしら?」
「『ピエトリーノ市最大のマフィア組織の頭が、実は、あなたの父です』っていうのは小説の中でしか成り立たないことだと思っていた。そのゆえ、ピエトリーノ市のマフィアが頻繫に接してくるんだ。マフィアらの権力争いに巻き込まれたくないからこの校舎の空き教室に隠してきた。」
「たまたま私の良く通る道のわきの部屋だったのかしら?」
「ユージェちゃんが入学する前にここの消防点検に消火器を揃うボランティアをやっていたのよ」
「何の話?浮気話よりも面白い?」
2人にちょっと離れたところに、金属の定規と木の定規を交代に消火器のびんを叩くシアナさんの姿がありました。
「シアナさんって何をしているのかしら?」
「消防設備の維持係が借金返済のために、消火器の中に石けん水をいれたといううわさがあったから、チェックしてみたよ」
「結果は?」
「さっぱりわからない。開かないと分からない。でもエルフの耳を持っていれば音の違いは見分けられるのかも」
「きっとその維持係もピエトリーノ市のマフィアの高利貸しから金を借りたわけだ」
レベスクさんが自嘲するような笑いを浮かべました。
「レベスク氏よ、話が分かった。眼鏡もかけて、髪型も変えれば別人だぞ」
「そんなわけあるか!」
「たっぷりある。我々は紙の上に踊る人間だから」
「シアナさんの言動を理解するには哲学者なみでないといけないわね」




