第2章
異変というのはなんなんだ?少なくとも、7月3日の朝、少女がジャン・ジョレ広場を横切るときに、わかるはずもありませんでした。
「突発!走行中の列車に爆発事件!ピエトリーノ市に接続する軌道が寸断っと、わからないこともないのだろう?読めたらついでに買ったら?」
仕入して配達し残ったの新聞紙をしつこく押し付けてくるレベスクさんに、少女は断りました。
「たまにはこういうアミューズメントも染みついたら?」
ムーテさんが現れて、少女の分の新聞紙代を払ってくれました。
「ムーテおじさん、ありがとう…」
「一見ユージェちゃんには無関係と思えるけど、魔族や魔王城などに税金を重課させて、酒税を下げるとラ・シテの議員たちを動かせた、ピエトリーノ市の●●家族の二番目的な人物もその列車に乗っていたらしい。爆薬は多分、ブルティノー=ダンボワーズ駅かサン・ゴーティエ・マルゴトン駅で仕込まれたのだろう」
少女は数秒黙っていて、話しました。
「そういえば、私が難病の子のための薬をあの列車にもっていったわ。ちょっと重たかった」
ムーテさんが驚いた顔で少女の口を止めます。
「こんなことは、おじさんならまだしも、よそ者に話しては決していけないんだ。いいか?誰にも、この件は関わっていないと言ってな」
「でもどうして…」
ムーテさんが左目に手を入れて、眼球を取り出しました。義眼でした。
「この命、あなたの母のここみさんに救われたんだから」
「25年前のことだった。遭難した時に、何の希望も持たなかった。でも、あの時に、黒い翼の天使が降り舞いた…ごめん、ユージェちゃんは通学中ってのことを忘れて…いってらっしゃい!」




