幕間19
「紹介状があればお金がなくでもあげるけれど、1枚の燃料券は1かごの漬けイカしか買えない」
「何とか安売りにしてよ」
「何とかルールを変えられるチカラを手に入れてよ」
「今度おっとが働いているコルホーズでのポテトを取っておいてあげるから」
「その数か月あとの利益は口で約束では何の意味もない…」
購買協同組合の店員さんが満開した白い蓮のような笑顔をして、買い手となる客にもっとも情けない言葉を出します。
「ここのなごみは、うそとたくらみになりったっているわ…」
「何かを考えているのか?」
休憩スペースに座ってパサパサな麦パンを噛み続けて、有人カウンターを見つめる由理依が切子に声をかけられました。
「ジャンパーできるルートを考えているんだ」
「じゃこれのむ?」
切子が缶ソーダを由理依に渡しました。
「今度はどの券の無駄遣いをしたのかしら?」
「ううん、ほら見て」
切子が髪の結びつけるた輪ゴムがなくなったことを由理依に注目されるように自分の髪をいじっていました。
「燃料を節約したい面からも、人目を避けたい面からも、氷結した川の上に走りたくなるわ」
「でも万が一の場合は?」
「ちょうど同級生の一人が第三新百津川(Третья Нью-Схинмомотсугаща)町の堤防に働いている」
「第三…新百津川町?」
「新百津川がよく氾濫するから、その水を汲んでいた農業する人たちも川が氾濫するたびに別の場所に移転ざるを得なかった。ところが第5回五カ年計画で、川沿いの堤防が整備されて、町の場所も固定されていた…というか何で観光ガイドみたいに解説しなければいけなかった?ところで食べなよ、魔法ってさ冬眠した動物を呼び出して料理できないのじゃない」
「ぱさぱさパンがひる飯か…こんど手元に食材があったら焼きちゃんぽんパンを食べたいところだよ」
「この自然村は300人弱しかいないわよ。小麦粉でできた食べ物あればありがたく思いなさい」




