第10章
少女はラングラード川に向いたベンチに座って、ゆでポテトの皮を剥いています。
「授業をサボた悪い子はだーれだ?」
儀仗隊のように靴を強く地面に叩いて大きい音を出して悪趣味のしたミノ憲兵が少女に近づきました。
「今日は授業はない!」
「その顔…悩み事があるのだろう?優しい兄になって聞いてあげよう」
「…私、ラ・シテへ難病の治療を受けなければ余命3ヶ月の子のために、駅に停車中の列車に薬を届いて行ってきたの。私よりも年下の子が毅然としており落ち着いた顔だった。もしも私が魔王のチカラがあれば救ってあげてもよかった…」
「まあでも貴族ではなかったから難病も首が切り落とされるよりましだったじゃない?」
「これは面白くないわ」
「悪かったな、君の言う通りだ。」
「私たち、いつかユートピアに近づけるのかな。」
「探しても見当たらなければ作ればいい」
「憲兵のお兄さん、そのバッジ、かっこいい!」
少女は、下校した小学生がミノさんのむね元を触ってから初めてミノさんに顔を合わせました。
「また紙の女神像?しかも憲兵のバッジを被せてる」
「二次元的だから 像じゃない。ユージェちゃんは言葉を濁さない。 どんなに弱みを見せても魔王の一族だ」
「あまりにもうるさかったら上司に報告してあげて始末書を書かせるわ」
「あ、憲兵のミノさん?こんにちは!やっぱり父からテニスラケットは不用品じゃなかったら返してほしいって」
遠くからサラちゃんの元気な声が伝わってきます。どうやら小学生とミノさんの前に翼のおろしたを気づいてないようです。
「そういえば、ミノさん、何を使ってバッジを固定しているの?ほら逃げるな」




