幕間17
2人の行動機械が明かりのついている喜岱湖国立公園(Национальный парк “Китаико”)第257号保守小屋の前にとまりました。2人が小屋のドアをノックしましたが、山積みのレコードに覆われた部屋に、女の子が頭を突き出して外を見ます。
「タワーリシチ?」
「すみませんが、泊めさていただけないかしら?」
「僕はオオカミ!がぉがぉ!」
「私の職務範囲ではないと思いますが…」
「森林官は楽しそうですね。まさかの敵性音楽か…って言いたいけど、雪宿りさせて頂きたいのですわ」
「六味線?楽しそうに決まってる!アドリブしちゃおう?」
「勝手に入らないで!」
「もう遅い!出会って5秒でコラボだ」
切子が勝手に小屋に入って、女の子をじっと見ながら拍手喝采します。結局、くねくねした由理依も部屋に入りました。
切子の熱意に負けて、女の子がペチカの焚き火に背を向いて、六味線を演奏し始めました。演奏したのは、敵性国で流行っているポピュラー音楽のリズムだようです。
冷や汗が出たりする不慣れな女の子を笑わせるほどに、切子が不自然な揺れ方で腰を振って盛り上がります。
「よー」
切子は変なタイミングで「よー」と叫んだりしますが、意外と演奏と似合っています。
「まだ不足があるけど別にいいじゃん、音楽がたのしむものだから」
「素敵ですわ」
「君たちは、この1ヶ月で初めての来客だもの!」
一曲終了した女の子が嬉し泣きしました。このとき、彼女が無意識に出したしっぽが引火して、すぐにも彼女が部屋から出て積雪に飛びついてしまいました。
「大丈夫かしら?」
「私を告発しないで…」
「モフモフを枕とさせていたら」
震えながら部屋に戻って火に当たって暖まる女の子に、由理依が彼女の頭とミミを撫でます。その後、3人がマッチパズルのように一緒に寝ていました。




