第8章
「シアナ・グネルはこっちで元気いっぱいです!」
スタッフがシアナさんの目の前に来て、手の中のクリップボードをチェックしています。
「申し訳ないのことですが、シアナさんは数学の成績がないですね、ゆえに、数理学優先クラスに入れません」
「ふぇぇー」
「今日中に優先学科が定まらないと、最悪の場合、校則によって即退学の手続きも考えられます」
「そんなー」
そこで、後ろの列から一人の男の子が出てきました。
「僕がシアナさんと交換します」
「レオっち?」
「シアナさん…ずっと会いたかった…デ・ラ・マーレ町の時から、ずっと前から好きだったよ」
「そっちの生徒さん、列を出ていただけます?」
「はい」
「お名前教えてください。」
「レオ・ボーマノワールといいます」
「レオ・ボーマノ…あった、数学もそこそこですね…では、私についてきてください」
「よかったねシアナ、後でボーマノワールさんに礼を言うね」
「ありがどうな、レオっち、シュウマイをたくさん奢るぞ」
「…シアナさんって相変わらずだな…よかった…」
昼休み時間になりました。
「まさかいきなりの授業だね、教科書を買えばよかった…翼っこって予知能力があるのか?」
「そんなファンタジーなことじゃないわ、昨日、たまたま本屋に行きたかっただけだわ」
「本屋って売っている?教科書」
「ブルティノー=ダンボワーズ駅のル・デスフォージで買ったわ」
「ああ、てっきりラ・ウネのことを指していると思ってしまった」
「ラ・ウネ?」
「ティボービルあたり最大級の本屋だよ、今度一緒にいこうよ」
「ああ、ヴァンディエール区にあまり詳しくないの、いいよ、今度、時間があったら…私、バイトもしていて、ずらさないといけないの」
「翼っち!」
シアナさんが割り込んできました。
「シアナさん?教室を教えていないのに…」
「私も先気づいたわ。シアナの目がいいってこと、これは魔導学に相性がいいわ」
「シアナって数理学じゃないの?」
「レオっちがうちと交換した」
「レオさんって?」
シンメイさんが小さい声で言います「片思いはつらいわ」




