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負の資産魔王城は財産放棄か?民事再生か?  作者: ださいやさい
第20話
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第9章

「またお会いしましょう」

列車の中、窓越してフラットホームで駅員と揉めるリアドさんと見送りしてくれたエリアーヌさんとトルステンジャックさん2人に手を振ってあげながら、下等列車のシートと背もたれに翼が圧迫されないように姿勢を調整する少女は、さみしそうな顔しました。

「何しているの?」

大人しく座る少女の前には、揺れ幅の大きいシアナさんです。

「エアチェロだぞ!乗り物酔いを防ぐ方法の一つは、同じ幅で自分が震えてシンクロするこどだ!」

ふざけたことばを言いだすシアナさんに慣れている少女は、頭を上げずに、書いたものを整理しています。

先のカーブを通ったらみちのりが3分の一、子の刻には下ブルティーノ市に戻るのだろうと、少女は思っています。


一瞬目をつぶして、再び開いたら、窓外の風景が変わって、シアナさんの声も姿も消えてしまいました。稲わらが積まれている平原に、点在する住宅が増えてきて、たまにカラスが並行して飛んで消えて、木造カーも明るい金属とぬの調になっています。

「五月さん、南栗谷(みなみくりがや)駅勤務のはずだろう?どうして会社制服の姿で乗ってる?」

「最近、人手が足りないくせに、警備が強いられて…」

「先週の列車爆破事件は大騒ぎとなったのね。早く犯人を捕まえたらいいのね」

「ですよね」

少女と話しかけた人は話を続けず、手慣れているように携帯音楽プレーヤーの磁気テープを取り出して、裏返して、イヤホンをつけました。ヘヴィメタル特有な音色が漏れてきます。

「次は、佐伯(さはく)ニュータウン中央」

車掌のアナウンスが聞こえてきました。少女は、次の駅で後退して折り返しの列車に乗る予定です。

「理想郷を求めている人は、批判されがちなのか?」

ばつが悪いのが原因か、社内恋愛が禁じられるを理由に、告白を断ってあげた相手が、あまりにも不審なスーツケースを持っていても、少女は見逃してあげました。

「さよなら」

誰が言ったのでしょう?


「きっぷを…あと学生証も見せてください」

少女はシアナさんが2人分のきっぷと学生証を持っていることを気づきました。

「私の財布?いつのまに?検札だったら起こしてくれよ」

「いいじゃない?犬猿(pire )の仲(ennemi)だから」

「また誤用しているわ」


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