第7章
男からやったロリポップをしゃぶって、男の子が快く駆け出しました。小切手を光漏れで鑑定しようとしている男の帽子が落ちて、少女は思わず声を出してしまいました。
「ベルトードさん?」
「自分の居場所を露呈しないように…」
シアナさんが腰を振りながら、ボン読みで少女の言った話を復唱します。
「オ・ラ・ラ・ラ タンピ…」
「シー。この街で僕の名はファスケルだ」
「口調も変わって…」
「もしかしたら、お兄さんはスパイなの?」
ルステンジャックさんは少女を真似するようにもじもじな声を出します。
「さすがに女の子3名に相手するには…僕はあくまで集金役だ」
「そして?」
少女のワクワクしている目で見られるベルトードさんは一回、深く息を吸って、答えます。
「下ブルティーノ市の市長が、次期の選挙にお金が必要だから…」
「魔女からあらゆる手段でお金を集めても、心に不安を感じないのね」
「にしても、あまりにも卑劣な手段だわ」
フルニエさんはいつのまにか、腰に手を当てて少女らの後ろに立っています。
「うちの弟も噓をつく年になったわ」
「しまった!美人たちに囲まれてしまった」
ベルトードさんはお手上げの姿を見せます。
「うちの弟を脅迫していなければ、これはこれでいい」
「そんな市長、見逃してやってられない」
シアナさんが握ったバゲットをすでに半分食っていました。
「井戸の水を飲む際には、井戸を掘った人の苦労を思え」
「それは感謝の意味だぞ」
ルステンジャックさんはフルニエさんの古典の誤用を指摘します。
「ところで、あなたたち3人、学園で尋ね人の放送が出ているけれど?」
「うちにコメディーショーをする予定はないけど」
「報告書、インタビュー、大事なことを忘れたわ!」
「翼っち、よろしくな!」
「ルステンジャックさんにそんなあだ名で呼ばれたら変な気持ちだわ!」




