第2章
「ただいま?」
中に一人の裸の女の子がドラゴンの翼に囲まれたまま、翼の上にうつ伏せで読書しています。そして、頭を上げずにみんなに挨拶します。
「ジャネット!「ようこそ!」仕事場へ、あるいは水たまりへ!」
ゴスロリの魔女が怒鳴ります。
「とりあえず服着なよ」
元の音量に戻ったゴスロリの魔女は片手で本を払って、片手でファイルを使って女の子を叩きます。
「へーやだ」
女の子が身をひるがえてお尻をみんなに向けます。
「ラバースタンプでさえ働いている気がするわ、だから公務員って憧れられるのかしら?」
「とてもふかふかするのね。こうだったらうちもジェンペ奏者になれるぞ」
「あなた魔女たち、噂のようにホウキを挟んで乗っていたら、つんつんぶりぶりとならないのじゃん?」
少女たちが各自コメントします。
「こいつ、ジェリーだけでなく、気が入ったらジェリービーンにもなれるんだ。こいつ、一見ダメな魔女だけど、昔は「千面相」という二つ名があって、自分の姿を変える天才であり、声色も自由に変えることが出来るんだ。けど中身は使い終えたロウソク以下だ」
ゴスロリの魔女は、暴れん坊の子猫のように必死で抵抗している女の子を、上着をたくし下げながら言います。
「本当の名と顔を忘れてしまっているのかもしれないが、この人生哲学は決して捨てないんだ」
着せられる女の子が親指を立てるジェスチャーをします。
「ところが、なんでドラゴンの翼を集めているの?」
みんなが衣装着せとなったような雰囲気の中で突然、少女が聞きます。




