第8章
デ=グレ市の市街地。2人が十字路の街角で行動機械から降りました。
「電話で行動機械を御者を呼ぶなんて、考えもしなかったわ」
「お嬢様かよ!」
「魔王の末裔だったもん!」
「ビャンビャンビャン。作戦プランをもう一度いう。ガキを脅かすやつが現れたら、ジェニーさんはそこのビルの屋上から飛び降りて接近して仕留めるんだ」
「で?スタンさんは上で観察するつもりかしら?」
「傍目八目(Il faudrait se voir avec l'oeil de son voisin.)それに、もしおいらは翼が2つでも生えたら、このくらいは自分でもできるぜ」
「良いことであれ、悪いことであれ、それは常に繰り返されるこどだわ。(Les malheurs ou les bonnes nouvelles s'enchainent jamais deux sans trois.)」
「サリュー!奇遇だね」
2人が少し歩いたら、何故か自転車に乗っているシアナさんの姿が現れました。
「どうしてシアナさんがここに?」
「片手が先の行動機械を掴んで、片手が自転車のハンドルを握っていたから。馬車の御者が行動機械を操作していたら、ほぼ後ろを見ないからセーフだ。鉄の馬が肉の馬に代えた悪い報いか…」
「そんなことは誰でも聞いていない!
「どうぞご心配なく。自転車とは借りたもので、ちゃんと返すから」
「どうして私たちがここに来るのを知って尾行してきたの?」
「翼っちたちを尾行?違うぞ。ほら、後ろのプレートを見てみな」
2人がそっぽを向いて、十字路の一角の建物に「デ=グレ県電話交換局」という錆びたプレートがあります。
「部外者は立ち入り禁止!」
その建物の入り口が中の人に力を入れてひどく戸をしめられました。
「翼っちは手ごわいさまのフリをしていても、16歳の威厳が働きもしないか…」
「魔王の末裔として、500歳分の威厳くらいがあるはずだわ」
トルステンジャックさんが頭を横に振ります。
「おいらでも限界がくると感じてきた」
「いまさら?」
「この街の人間なら、公然の秘密だ。電話交換局というのは、魔女の天下りの場所だ」
「どうする?スタンっち?」
「スタンっち?うん…」
少女の翼に目線を集められました。
「どうして…こんなこととなった…ヴァぁ…」
「頑張って、このあとはうちの番だぞ」
少女がへこまされる顔して飛んで、トルステンジャックさんを窓1つ分ずつ揚げます。後者がしっかり窓枠を掴めたら、また引っ張ってあげます。
時間がかかりそうですね。




