第2章 (6月16日)
6月16日。
カラスの鳴き声を聞いたカラステングの少女は目覚めましたが、ベッドから起き上がれません。なぜなら、ある重たいものか少女の上に横たわって寝ています。少女の体はシアナさんの体と十の字になってしまっています。左に寝返りを打ってみても、右に寝返りを打ってみっても、なぜかシアナさんの動きとシンクロナイズしてしまいます。
「起きるわよ、どいて」
返事がありません。
少女はシアナさんの体を揺らしても、起きてくれなかったのです。彼女のおへそにくすぐったりしても、起きてくれなかったのです。羽根を1枚引っ張って、シアナさんの体に刺しても、起きてくれなかったのです。寝ながら無意識に左足の裏で右足の裏を引っ掻くシアナさんを見て、少女は焦ってたまりません。
このとき、誰かが掃除機をかけながら入ってきました。
「うにゃっ!」
シアナさんが急に猫のように飛び上がってしまいます。
「助けられましたわ。恩返しさせてください!何でもやりますから、見逃さないでください!」
少女は掃除機のスティックを握る女の子にハグします。
「ニャーっ」
自分の領地を主張する猫のように伏せて、掃除機に鳴くシアナさんがいました。
「何のドッキリですか?」
掃除機を止めた女の子かまぼこの形となった布団を見て、戸惑います。
「もう…私ったら、チェックアウトされたのは隣の部屋でしたね。」
布団だけでなく、ベットに散らばった羽根と汗だくなシートもかなり目たちます。
「待って、私たちはそういう関係ではないなの…」
何かを意識した少女は、奥深い意味を味わったようにドアをふたたび閉める女の子へ言い尽くせませんでした。
「部屋を間違うなんて、大雑把な女だ。しょうがないーのぅ」
掃除機が撤退したことを受けて、平常運転に戻ったシアナさんが言います。
「もう変な誤解ばっかり招くシアナさんと一緒に行動するのは嫌だわ」
少女は枕に顔をうずめながら、こぶしを握って枕の一角を叩きます。




