第6章
デ=グレ中央高校すぐという立地で、閑静な街中でのレストランに、3人が円卓に向き合って座っています。ピークを過ぎたか、店内も閑散状態です。
「やあ、少し列に並んだとしても、やっぱりアイスバインといえばこの店だ。ところが、何も食べていなくて、やっぱり食事について気が合わないなのか?」
「ううん、列車と飛行の酔いがまだ残っているだけだわ」
「分かる。リュテス=レ=ゴトゥロー駅から人を引っ張って飛ぶなんて、よく耐えてきたわね」
「翼っちの鼻が物干しのように伸びそう。ざらざら、つるつる…」
シアナさんがフォークでアイスバインを磨いています。
「鉄の棒が磨かれて針になるのであれば、豚の骨も鏡に成れるのだ」
「エルフほどの寿命でも持っていないのに、こんなことに自分の時間を浪費するなんて、バカだな。お願いがあるわ、シアナさん。私の分も食べてな」
「かごの中に暮らしていることを見せつけるだけで自称アーティストの人間よりはましだ。はいよー、下請けの食べ物処理係が言う」
「グネルさん、汚れがついているよ」
マレシャルさんが翼のつのつけた包帯のような布を取り外しました。
「え?傷は痛くなくなった?」
「ああ、これはハンカチだよ。うちの制服、スカートにポケットがないから」
マレシャルさんが言いだすと、少女はすぐにも体の力が抜けて、胸をなで下ろしてほっとしました。
「口に合わないのではなく、軽微犯罪法廷でまた会うのを考えると、潜在意識がドラっちを敵視していたのだろう?」
シアナさんが何かを察したように、少女の耳に口を寄せてささやきます。
「正直話したら恥ずかしいじゃない…シアナさんもなんの理由もなく向かい側の人間が自分を倒すことばっかり考えたら不快じゃない?このあと、パン屋を適当に回りたいわ」




