第4章
「あ、ミノさん、こんばんは、パトロール中?」
憲兵のマークが塗ってある行動機械に、少女が声がけしていっています。
「ええー、この辺りを一回まわって報告書を書いて終わったら、お久しぶりの寮帰りが待っているよ、そういえば、ユージェちゃん、鍵は?」
「鍵はアドリーゼさんにあげたわ、彼は警察署に寄り道をしなかったの?」
「あのアドリーゼに頼るなんて、ユージェちゃんはまだまだ甘いだね」
「やられたわ」
「こんなことになったのは、ユージェちゃんにも責任があるよ。ユージェちゃんも予定はないように見えるだね。さ、乗ってきって、一緒にアドリーゼを探そう」
ミノさんが体を横切って行動機械の扉を開けました。
「カビの匂いがするの…」
「仕方ないじゃない、こんな地方って予算があまりないから」
行動機械が丸い石が敷かれる狭い街道数分走ったら、右の路地裏に曲がりました。
「こら!アドリーゼ!なにをやっている?!」
アドリーゼさんがスプレー缶を持って、白い壁に黒い文字を塗っています。
「あ、やべっ、逃げろ」
「アドリーゼさん!ミノさんの鍵は?」
「あ、忘れた」
少し遠い所に走って行ったアドリーゼさんが戻りました。
「アドリーゼ!何をやっていることを知っているか?!」
「都会感を増やそうとしているんだ、だって、こんな地方は何もないじゃないか」
「アドリーゼさん、そんなことをしっちゃだめだわ」
「アドリーゼよ、このままだと補導に進んでしまうよ。今回はユージェちゃんの顔をたったから、特別に逃してあげるけど、1週間以内に壁を元通りに戻せよ」
「はーい」
「鍵は?」
「これ、どうぞ」
「日が暮れるじゃない?早く親元に戻ってなよ」
「ほーい」
「ごめん、ユージェちゃん、魔王城まで送るよ」
「ありがどうミノさん」
行動機械のライトが暗くなった石の街道を照らしています。
「ミノさんって手先が器用だったわ」
「あ、それ、見っちゃたのか、実は僕、この憲兵の仕事をやめて、紙像専門のスタジオを開きたいんだ…お金がないから何もできないじゃない?…この仕事を続ける理由は、お金を貯めるだけだよ…」
世知辛い世の中だわ。少女が行動機械の外で後ろに走って行く景色を見て思います。




