第5章
「こんなものじゃ、私は倒せないわよ…」
「ううううおぉぉぉ最高だ!」
少女がヴァン・デ・ヴェルヴェ神父に自作小説のキャラを演じさせられ、修女服を着たままSっ気のあるポースで変なセリフを言わせられてしまいました。顔が赤くなった少女が冷たい目で神父を見ます。
「お年上に優しくしてあげると、良い事があるわねぇ… これは一理あるわね。」
少女が原稿をそそくさといじり回します。
「ピザ嬢じゃない?新しい業務も始まった?」
人込みから少女の方向に振り向く誰かが言いました。
「もう嫌だ!恥ずかしい」
少女が翼を顔に隠しながら小走りに消えました。
「怒っちゃダメよ…」
少女が原稿にあったセリフで頭を冷やしながら飛んでいます。街を見下ろすと、タバコを吸おうとして自分の髭まで火が付いてしまって慌てて水をかける薬局の男の人とか、ブルーク市場のショーウインドーの隙間に新聞紙を挟んで怒られたレベスクさんとか、この街あるある風景が変わらぬであります。
「魔王を討伐せよ!」
どこかの家のガキがY字型パチンコで少女に小石を当てるところでした。
「危ないじゃないの!」
地面に行ってガキを教育したかった少女が、結局魔王城まで飛んで続いてきました。
「これは奇跡だわ。」
少女が魔王城に戻ったら、未だに立っっているレベスクハウスに引きつけられました。
にたりと笑う少女は左右を見てから、柵の囲まれた庭に入り、新聞紙でできた小屋を解体し始めました。
「雨漏りを防ぐには、これだけじゃ足りないなぁ…」
少女が新聞紙だった平たく固い材を抱きたまま、考えことしました。
「バケモノがいる!」
顔がなにか黄色く粘りものまみれたダメイドが少女を驚かせました。
「これ、松ヤニだよ。美肌効果がそれに、この街に翼の生えたたった一人が他人をバケモノと言う気?」
「松ヤニ?また変な雑誌にすすめられていたかしら?私、昼にきゅうりで同じことをした人間の気絶シーンを目撃したけど。でも、松ヤニか。試しても悪くないわね。大工タイム!」




