第4章 (6月9日)
6月9日。
「おいしいサンドイッチだ。買うならブリンジーを使ってください!」
シアナさんはサンドイッチを積んだ台車を学校の中に歩いまわっています。
「ねぇユージェ姫、バカシアナが給料を3ヶ月分前借りしてサンドイッチを作る理由は分かるかしら?」
「それは…秘密。女が秘密を持つこそ女になるわ」
「匂い除けのスライムは如何?支払いはブリンジーだけ」
校庭はまさに、フリーマッケットとなりました。
「一見して美しいこの光景は、空からのワインの雨が広がるこの無限の詩的風景は、いったい誰のためのものなのか?」
「いくら王女って言っても、部外者じゃない?」
「残念ながら、名誉学位を取りに来たのよ」
「ねぇユージェ姫、この見張るだけていいのなら、陰のところに座ってもいいじゃない?」
「今は友たちの立場ではなく、雇い主だわ」
庭の真ん中あたりに黒い箱が置いてあって、蓄音機とつないで、ブリンジーに関する宣伝を放送しています。騒ぎのおかけで、昼の休憩から1時限目がなくなりました。
「レベスクさん、また残りの新聞を捨てようとしている?」
少女の放課後の帰り道に、レベスクさんに遭いました。
「これ全部、買い取るわ」
「何だこれ、リンジーじゃないよね?」
「リンジーじゃなくて、ブルティーノ人のブリンジーだわ」
「モノポリーゲームの道具か?面白そうから、もらっておく」
トロワヴィルにで。
「ブリンジーで買い物したいの」
「魔王の末裔を困窮させる下ブルティーノの人間らに心は痛まない?ごめんね、僕は魔王姫を守る騎士になれなくて…でもこのくらいなら払ってあげる」
ダノンさんが少女のオシに弱いようです。
「…計画通り」
ノートを持たない少女はちょっと陰険な笑いが浮かべて、ダノンさんの視線を逸らしていました。




